第5話 逃げた聖女を追いかける途中で……?
「クロウ、もっとスピード出せないの!?」
「無茶言わないでくれ」
私は現在、馬に乗って神殿に向かっている途中である。
手紙を確認した後部屋を覗く中はもぬけのから、部屋の主のリイナも護衛に頼んだ彼女の
そしてテラスの扉が開いていて、カーテンがロープがわりに……
2人でベタな逃避行かい!
一応、私の書いた小説では、呪いを受けるのは儀式が始まる前。
私が黒幕じゃないからわかんないけど、どうなるかわからないけど、今の時間帯が一番危ない。
だから乗馬ができない私は、クロウに馬を走らせ、ニケツさせてもらっている。
とにかくリイナの無事をいち早く確認したいのだけど……手綱を握っているクロウは呑気なもので、一定の速度以上を出そうとはしなかった。
「ルナ、危ないから暴れないで。焦らなくても、大丈夫だからゆっくり行くべきだよ」
「なんでずっと悠長なのあなたたちは!リイナが途中どこかで怪我してたら大変よ!急いで!」
「ここ庶民もいる街中だよ?これ以上早く駆けたらこっちが事故起こして怪我するよ?」
確かに……ここは中世ヨーロッパに近い舞台設定にしている。
だから車が走ってなければ、信号もない。
ある程度鋪装はされているけれど、神殿があるこの地域は観光地となっていて、人が多い。
その上に狭いので、歩道から人がはみ出ていた。
それを避けながら進むとなると、必要以上には速度がだせないのは当然のことだった。
しかし、理性では分かっていても心が追いつかないのが人間というもの。
だから私はお構いなしにクロウをせかした。
そんな私に彼はため息を吐いた。
「それに、今は神殿にいるんでしょ?しかもフィリックと一緒に。そんなに過保護になることないよ。」
「でも、敵はどこから来るかわからないでしょ!もう……だいたい、なんでフィリックはリイナ連れ出しちゃうのよ!護衛しろって頼んだのに!」
「そう?気持ちはわかるけど…一週間も僕とフィリック呼び出して宿泊させてまで護衛をさせて、リイナ本人は監禁されて……可哀想に、僕でも息が詰まるよ。君に脅迫されなきゃ、僕だって馬走らせて君を神殿連れて行ったりしないよ。」
「何よ、私のこと悪者みたいに!」
私だって、あんな事件なかったらこんなことしないわよ!
っていうか、元聖女候補の一人が殺されるって大変なことなんじゃないの?
聖女が護衛厳しくするのが普通じゃない?
だいたい、犯人捕まえろって言ってるのに捕まえないから私が躍起になってるんじゃないのよ!
「そこまでいうなら、早くあの令嬢を襲ったピンクの魔女を捕まえ……」
私は緊急性を必死に訴えていると、とある人間を視線に捉えた。
さっきも言ったように、ここの街は、神殿があることもあって観光地として賑わっている。
それなりの格好をした人が多い。
だから、見窄らしい……身長の低いボロボロの黒いローブを頭から被っている人間がいたら……気になるなというのが無理な話だ。
「何……あれ……」
「え?なに?」
「あの子…」
そう言って私が指を挿したのと同時に、その子は路地裏の方に入って行ってしまった。
その時、一瞬だったけれどチラリとローブの隙間から見えた。
ピンクの髪が……!
「クロウ、ストップ!止めて止めて止めて止めて!!」
私はクロウの服をグイグイと引っ張り、馬を止めるよう説得する。
「今度は何!?急げって言ったり、止まれって言ったり!」
「いた、いたの!ピンクの髪の子供!」
「はぁ?まだそんなこと言ってるの!?」
どちらかといえばいつも穏やかな彼だが、
流石に今回の私の言動にはブチギレたクロウが流石にブチギレる。
それはそうだろう。
急いで神殿に行けと言っていた人間が急に止まれというのだから。
でも、もしあの子が本当にロベリアなら、見過ごすわけにはいかないのだ!
だって、リイナに危機が迫っている……あるいは危機に陥った直後かもしれないのだから!
クロウが馬を止めると、私は降りる。
「ちょっと待ってて!」
「ルナ!」
そして、クロウの静止を聞かないで、ロベリアと思わ式人物が進んだであろう路地裏の方に駆け出して行った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます