「難攻不落の氷姫」と呼ばれる他校の美少女に傘を渡したらなぜか養ってもらうことになった

第16話 恋バナとビデオ通話

　はぁ、こいつ。

　泊まりになって恋バナを話始めるって小学生かよ。

　まぁ別にいいけどさ。

「それ聞いてどうするんだ？」

「ただの雑談ー」

「ふーん、ま、好きかもね」

「なんだそりゃ」

　なんだそりゃって、結構頑張ったのにな。

「ん？高木スマホ鳴ってるぞ」

「ほんとだ、来たな」

　来たな？どういうこと？

　高木が通話ボタンを押した瞬間電話口からは元気な声が勢いよく飛び出してきた。

『やっほー！！』

「よっす」

「く、胡桃さん！？」

　電話の主は他の誰でもなく高木の彼女の胡桃さんだった。

『お、ふたばっちもいるの』

「ふ、ふたばっち！？」

　さっきまで双葉くんって言われてたのに……

『あー、ダメだよふたばっち』

「？」

『あんまりうるさくすると結姫起きちゃうから』

　なんだ、結姫はもう寝てるのか。

　というか開口一番大きな声でやっほー！！って言ってた人誰だっけな。

「ごめんごめん」

『ねぇふたばっち』

「なに？」

『結姫の寝顔、見たいっしょ』

「……へっ？」

『どう？今なら無料で見れちゃうぞ』

「は、あ、いや……別に見たくないし！」

『変なとこで意地はるなよぉ』

「高木……」

「ごめんな乃亜、莉那はこういうタイプなんだ。まぁそこがいいところでもあるんだけど」

　ちょっと惚気られた気がする。

『自分の心に手を当てて聞いてみな』

「手を……」

　俺は、俺は………

「ちょっとだけ…みたい、かも」

『へへ、よく言ったぜブラザー』

　え、これキャラ崩壊してない胡桃さん大丈夫？

「大丈夫、深夜テンションなだけだ」

　なぜか高木に心を読まれたんだが。

　すると電話はビデオ通話に変わり、少し暗めな部屋が映し出された。

「これが、結姫の部屋……」

　なんだか悪いことをしている気になる。

「ご、ごめん！やっぱ大丈夫！」

『え？』

「これは、結姫に悪いよ」

　いくら結姫の旧友の胡桃さんが許可したからと言って結姫の許可はとってないわけだし第一寝顔なんて男に見られたいものじゃない。

「寝顔なんて好きな人にしか見せたくないよ普通」

　だから、と言って俺は続ける。

「俺にはまだその資格は無い」

『ふーん？見かけによらず漢なんだねぇ、今日のところはこのくらいでいっか』

『そーだねー』

　ふと電話口の向こうから夜宵の声も聞こえた。

「なんだ、夜宵もいたのか」

『なんだって何よー』

「なんでも、じゃあ明日も学祭あるんだし早く寝なよ」

『はーい』

『こたくんおやすみ』

「おやすみ莉那」

　と、2人の甘いおやすみの挨拶も済んだところで通話は切れた。

　なかなか濃い時間だったな。

　そう思考をめぐらせつつも明日に備えてゆっくりと目を閉じるのだった。

♢♢♢

「おい！シフトのやつ1人足りないぞ！」

「ほんとだ！だれ！！」

「山口くんだよ！」

「何してんだよあいつ……」

「ちょっと僕探しに行ってくる！」

　と、てんやわんやなクラスを見て俺はひっそりとため息をつく。

　まったく、なんで俺のシフトの時間だけこんな慌ててんだか。

　俺は女装メイド喫茶という名の地獄をこれから体験しようかと言う所だった。

　ちなみに今はメイク途中。

　俺の女装姿は男女問わず意外と定評がある。

　いやなんで？

　よく分からないけどクラス一人一人に割り振られる仕事なのだから全うするしかない。

　できることなら逃げ出したいが。

　しかも今日は結姫も来るらしい。

　逃げ出したいというか逃げ出そうかな。

　こんな恥ずかしい姿見られたらもうお嫁に行けないよ（真顔）。

「乃亜ちゃんメイク終わりましたー！」

　俺のメイクを担当していた女子が声を上げた。

「おぉ！よかった、双葉さえいれば人数が足りなくても何とかなるからな！」

「そうだな！頼んだぞ双葉！」

「お、おう」

　重圧が……

「山口くん戻ってきたよ！」

「おい山口早くしろ！」

「何してんねん山口！」

　ホントだよ、山口お前のせいで俺に重圧がのしかかるところだったぞ。

　ちなみに山口くんと話したことは無い。

「あと5分後一般のお客様入るからー！」

「まてまて、齋藤はどこいった」

「あ、齋藤ならトイレ行ったぞ？死にそうな顔して」

　おい待て、齋藤って女装メイド担当じゃなかったか？

　ここで女装組が欠けるのは痛すぎるぞ。

　逃げるな齋藤！頑張れ齋藤！！腹の痛みになんか負けるな！！！

　ちなみに齋藤くんと話したことは無い。

「おい双葉！男子トイレ行って齋藤の様子確認してきてくれ」

「りょーかい」

　任務を与えられた俺はあの地獄のクラス…準備で忙しそうなクラスから飛び出して男子トイレに向かった。

　のは良かったものの寸前で先生にトイレに入るのを止められた。

「ねぇあなた、女子トイレはこっちじゃないわよ？」

　これはこれは、家庭科のおばちゃんじゃないすか。

　実はこれ女装なんすわ。

「あのー、これ女装なんです」

「あらぁ！そうなのね！まったく可愛くて気づかなかったわ！」

　まぁ陽気なことで。

　ということで無事トイレにたどり着いた。

　明らかに1個だけ閉まっている個室があったのでそこに話しかける。

「ねぇ齋藤くん、大丈夫？」

　必殺の猫かぶりしながらね。

「心配だから来てみたけどやっぱり無理そうかな？」

「うぅ……」

　呻き声で返事をしないでくれ…

「でも一人でも欠けちゃうと大変だからさ、治ったらすぐ来て貰えると助かる。一緒に頑張ろうね！」

　よし、任務完了。

　地獄…クラスに戻ろう。

「戻りましたー」

「齋藤は？」

「話しかけたら呻き声で返事された」

「ダメだな…」

「戻りましたー……」

「齋藤！！」

　齋藤！？

　咄嗟に後ろを振り返るとそこには齋藤がいたのだ！！

　齋藤！！よく戻った！！

「よし！これでみんな揃ったね！」

　クラス委員長的な人が声を上げた。

「今から一般の人はいるよ！絶対成功させようね！」

「「おー！！」」

　と、クラスのみんなに合わせて言ってみたはいいもののこの調子で成功するのかこのクラス。

　何はともかくお客さんの接客頑張るぞ！

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こんばんは星宮亜玖愛です。

まず1週間も更新休んですみませんでした！

実はインフルエンザに罹っておりまして物語を書くのはもちろん、食事もまともにできていない状態でした。

ですが今日やっと熱が下がって少しずつまともな食事を取れるようになってきたので少しづつ書き始め更新出来ました。

楽しみにしていただいていた読者の皆様には本当に迷惑をおかけし申し訳ありませんでした。

私ごとになりますが今月の終わりには定期考査も控えており作品の更新も毎日は出来ないと思います。

ですが2日に1回や、最低でも3日に1回は更新しますので、読者の皆様にはご迷惑をおかけしますが今後ともどうかよろしくお願いします。

これからもこの作品、そして私星宮亜玖愛の応援をどうぞよろしくお願いします。