只今「物書き」リハビリ中

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第1話 「只今「物書き」リハビリ中」って何よ

おそらく、タイトルを見てほとんどの人が「どういう内容?」と思った事だろう。斯くいう私も、このタイトルを伝わるタイトルだとは思えない。

でも、このタイトルこそが物書きのリハビリ中らしさであり、このお話を書き終わる頃にはリハビリが終わり、伝わるタイトルに書き換えられている事を願いたい。


兎にも角にも伝わらないので、まずは私がリハビリをするに至った経緯をお話したい。


子供の頃の私は、言葉に溢れた子供だった。

詩や作文等文章をよく書き、その文章がとても独創性のある文章だと評価され、特に私の母は「あなたにしか書けない文章だ」と私の文章が好きだと言ってよく褒めてくれた。

でも、ただ文章をよく書ける子供だったと自画自賛したい訳ではない。そんな文章になりそうな場合は、すぐに回れ右をし、他の方の文章を読みに行く事をオススメする事を先にお約束させて頂く。


先程も言った通り、常に私の中からは言葉が溢れていた。私が何かを書く時、私は何かを考えている訳ではなく、私の中から泉の様に湧き出てくる言葉をただただ書き出していた。

それこそ、自分で内容を考える暇もない程に。

なので、何か言葉が溢れそうな瞬間は必死に紙を探したものだった。

私の泉は気まぐれに急に言葉を溢れさせてくれるものだから、書き記す側は大変なのである。


なので、小学生の頃は様々な文章を作成していた。時には自分を主人公にした異世界の物語なんてものもあり、それを友人に披露するという黒歴史をやらかしていたなんて事も…。

嗚呼、黒歴史、黒歴史…。


とにかく、言葉を紡ぎ出すのに困らない生活を送っていた事は言うまでもなかった。


しかし、中学に入り、色々と考える機会やメンタルの変化を迎える多感な時期に突入したからか。

泉は枯渇し始めた。

それまでの様にタイミングも問わず言葉が溢れ出す事は無くなり、何か文章を書こうとしても、「私らしさ」の様な部分は極端に減り、何を書いてもしっくりこないと思う事が多くなった。

そして、文章自体がほとんど書けなくなっていた中2の夏。夏休みの宿題で、あるテーマに対する感想文を書かなくてはならない。だが、何も出てこない。

それでも、夏に終わりはくる。

何か提出しなければと焦れば焦る程言葉は出てこない。

苦肉の策として、今まで賞をとった感想文の過去作をいくつか読み、傾向を探って書く方向性を決めてやむなく書いた。もちろん自分らしさなどどこにもなく、私的に面白味のない文章が出来上がった。

納得する文章ではないが、宿題を出さないよりはマシだと自分を納得させざるを得なかった。


だが、蓋を開けてみれば、その感想文はあるコンクールで最優秀賞よりも取るのが難しいとされる会長賞を受賞した。

全校集会で名前を呼ばれ登壇し、今までもらった事もない様な立派な賞状をもらった瞬間…

私の泉は完全に枯れた。

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