に。

 .





『デートするぞ』

『え?』

『クリスマスに』


 いつも仕事で忙しい彼。

 久しぶりに会えた彼が私に言った。


『え? だって、クリスマスは仕事だって……』

『確かに仕事だが定期で帰る』

『…大丈夫なんですか?』

『大丈夫だ。…といってもデートは朝からじゃなくて、夕方からになってしまうがな』


 そう言って彼は、申し訳なさそうに私の頭を撫でる。


『…嬉しい』

『は?』

『クリスマスにあなたと会えて、デートまで出来るなんて。私は幸せ者ですね』

『…大袈裟だな』

『えへへ、楽しみです』


 何をするでもなく。

 私は彼の肩に頭を預けて。

 彼は頭を撫でていた手で私の肩を抱き寄せて。

 いつも感じられない彼のぬくもりを目一杯吸収して。


 のんびりと、ただ穏やかに。

 1日の一握りでも、こうして彼と一緒に時間を過ごせるなら。

 私は、―――幸せです。


.

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