まっくろけな

闇之一夜

まっくろけな

くじけそうになるんだ

トカゲのように

尻尾のようになるんだ


見捨てられ不安心に

火をつけたら

蝋燭のような灯り

しょぼいぞ


この不幸 まるで

ルーレットの当たり

それも自販機の


待っていたら歳食った

何度も何度も

挑戦したら破産した


こういうのをバカという

それでいいんだよ

人はそういうので

ちょうどいいんだよ


魚のようになりすぎて

泳げないのに僕は

鱗だらけになってしまった


光る 輝く 栄光みたく

誰にも知られず屍肉の硬く

研ぎ澄まされた視覚のなかで

君まで届くまで あくまで

僕は夢を見る


邪魔されても知るもんか

大人になってもやめない

子供になったらあきらめる

いつかそんな日が来るさ(と上から)


カラスのようになりすぎて

飛んでくる石も嘲笑い

けたたましく逃げ去るは

ゴミに捨てられた、

人の死体ばかりあさる俺


みんながこれを正しいと言う

この屍を正義と言う

俺には無残にしか見えないこれを

このザマを

誰もが自信満々に声高に

当然と言う 普通と言う


だから死体が美味いぞ

腐っていたら最高だ

知ってるだろう

俺はもう人間じゃない


というか

生まれる前から

化け物だった気がする


鏡でてめえの面をしげしげ

この地獄の悪鬼の目

ダークナイトのジョーカーにも

ミチロウにもなれないが

俺としては

まずまずな滑り出し

栄光に満ちた出発


倒れそうになるんだ

自殺しかけるんだ

破滅寸前になり

息も絶え絶えを

心臓だけで這い上がる


穴のふちに

超可愛い君が立っていた

笑ってこう言う

「そこ底なしなのに、

なんで出てくんの?

あんたおかしいよ」


おかしくない

狂ってるだけだ

狂っちゃいない

世界が今度はこっちのもんなだけ

半分こしよう


逃げ出す君の後ろを見て

いつまでも羽根を抜く俺がいた

まっくろけな

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まっくろけな 闇之一夜 @yaminokaz

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