パワハラ上司が転生したら、勇者扱いだった件 ~異世界でもパワハラ(パワーを使ってハイクオリティなライフを送る)します~

ひたかのみつ

第1話 パワハラ上司、異世界に転生する

「まったく、このくらい言わなくても分かれよなぁ!? 」

「すみませ…… 」

「ぜんぜん使えねぇ。 いままで何もやってこなかったんだろうな、みて分かるよ」

「チッ…… 」


羽輪原ぱわはらあつし(36歳/独身)は今日も部下にパワハラをしていた。

羽輪原の名前は、会社の中で、パワハラ上司として知れ渡っていた。


「なにぼーっとしてんだよ! お前のせいなんだから、さっさと行け! 」

「っ……してやる 」

「あぁ? なんだよ? 言い訳はいらな―― おいそれ包丁っ……?! 」


ドスっ


羽輪原ぱわはらの腹部に包丁が突き刺さった。

激しい痛みに、声も出せず、その場に倒れこむ。

(おい、たすけ…… たすけろ)

わずかな声を出す余裕も無く、意識は少しずつ遠くなっていった。

(どうして、こんな、ことに…… )




「はっ !!」

 俺は気が付けば、広い草原の中に一人で立っていた。

「そうだ、刺された腹は――! 」

 服には包丁に刺された穴が開いているが、不思議なことに傷は少しも無かった。

「まぁいい、ここがどこの公園かは知らないが、早く戻らなくては」


 羽輪原は、穴の開いたスーツ姿で草原の小道を辿たどり始めた。










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