第27話 黒髪の二人

昨日は何て言うか、アレだな。

リアナが・・ちょっと驚いたけど。

お酒って性格変わるのかな。

宿屋の部屋、一緒のベッドで俺たちは寝ていた。


「頭痛い・・・」

リアナが起きたみたいだ。

お酒飲むと頭痛くなるのか・・・。

「水飲みたい・・・」


俺はベッドから出て、ショルダーバックを取る。

ショルダーバックの中から、コップを取り出し魔法で水を出し注いだ。

「はい」

「早っ!っていうか便利ね、そういう時。外に行かなくていいもんね」

コップを受け取り、水を飲むリアナ。


「っていうか、コップなんて持ってたっけ?」

「アイテムボックスにしまってたからね。大概のものは持ってるよ」

俺は皮のショルダーバックを持ち上げた。

「それ、アイテムボックスなんだ」


「って寒っつ」

「そりゃ裸だし、寒いだろう」

「あれ?なんで裸なの?」

「覚えてないのか?」

まさか、お酒で忘れているとかそういうオチか?


「あ~思い出した。私がノアに・・」

俺は服をリアナに渡す。

「お酒は色々とあるんだな。よくわかったよ」

飲むときは色々気を付けたほうがよさそうだ。


「今日は冒険者ギルドに行くぞ」

「あれ?図書館は?」

「手持ちのお金が減ってきたからな、依頼こなさないと。図書館はいつでも行けるからな」



****



ざわざわ・・

冒険者ギルドはどこも同じ雰囲気だな。

俺はリアナと掲示板を眺めていた。

「黒髪の・・」

「違う奴みたいだぜ・・」

黒髪?俺の事かな?

まぁ噂なんてどうでもいいけど。


後ろから見られている感じがした。

何だ?

振り向くと、黒髪の男性と女の子が立っていた。

「俺に用か?」

黒髪だが、日本人という感じでもないな。

違和感。

魔法で姿を変えているようだ。


「ノア・・この人たち」

「何か用事があるみたいだな」


「君、ウラノじゃないよね?」

肌の白い男性が言った。

「俺の事を知ってるのか?」

「ああ、でもあいつでは無いみたいだ・・」

少し肩を落とした様子の男性。


「ちょっと詳しく聞かせてもらえるか?」

俺は黒髪の男女を、ギルドの外に連れ出した。

近くの喫茶店。

座って話が出来そうなところに移動した。

俺とリアナは隣に、向かい合わせで黒髪の二人組が座っている。


「ちょっとノア、人が大勢いるけど大丈夫なの?」

お客が他にもいて賑わっている。

「割と他の人の話なんか気にならないよ。それに大丈夫」


俺は結界を発動させた。

薄い膜が辺りを覆った。

「音はこれで遮ればいいだけだし」

音のみ遮断される結界。

「ノアってさ、何でもありだよね・・もう驚かないけど」


「それで、姿を変えてまで俺を探しにきたんですか?」

「はは、それもバレてるのか。凄いね、君は。オレは勇者だった浦野うらの くもに似てる君を見かけてね。気になって会いに来たんだよ」


「オレ達はこんな身なりだが、エルフだ。1000年前の彼が忘れられなくてね」

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