第052話 昇格条件と溶けた心の壁
今日も今日としてノワールの森でモンスターの討伐と薬草や素材集め。
貯めていたお金も少なくなったので、休んでいる暇はない。
「リリ、フェザーニードル!! ルナ、フロストブレス!!」
「チィイイッ!!」
「クゥッ!!」
俺は従魔たちに指示を出しながら、4匹のダイヤウルフと20匹を超えるフォレストウルフの群れを1人で殲滅していた。
サーシャから受けた加護の力は大きく、ダイヤウルフも一撃で真っ二つにできるようになったため、俺がダイヤウルフの相手をして、皆にはフォレストウルフを倒してもらう。
「これで終わりっと」
「キャインッ」
最後のダイヤウルフを倒すと、皆もフォレストウルフを殲滅し終わっていた。
ノワールの森も少し物足りなくなってきた。
それもそのはず。
―――――――――――――――
個体名:リリ
レベル:30/30
進化条件②▼
①火炎晶×5(0/5)
②雷霆草×5(0/5)
③アチチ草×100(100/100)
④ビリビリダケ×100(100/100)
⑤Cランク魔石×100(100/100)
⑥レベル上限
―――――――――――――――
個体名:ポーラ
レベル:30/30
進化条件②▼
①聖水×500mL(500/500)
②月の実×5(0/5)
③メディチ草×100(100/100)
④ゲドッグ草×100(100/100)
⑤Cランク魔石×100(100/100)
⑥レベル上限
―――――――――――――――
個体名:ルナ
レベル:30/30
進化条件②▼
①妖石×5(0/5)
②魔結晶×5(0/5)
③雪晶花×10(0/10)
④ヒエヒエ石×100(100/100)
⑤Cランク魔石×100(100/100)
⑥レベル上限
―――――――――――――――
個体名:プルー
レベル:30/30
進化条件②▼
①暗黒水×500mL(0/500)
②混毒玉×5(0/5)
③シビレ草×100(100/100)
④ミンミンダケ×100(100/100)
⑤Cランク魔石×100(100/100)
⑥レベル上限
―――――――――――――――
個体名:クロロ
レベル:30/30
進化条件
①黒影石×1(0/1)
②シャドウナッツ×100(100/100)
③Cランク魔石×50(50/50)
④レベル上限
―――――――――――――――
全員がレベル上限まで上がっているからだ。
それと、ノワールの森で手に入る進化素材は全て揃え終えた。進化するためには北の峡谷と西の山で素材集めをする必要がある。
「そろそろ頃合いか……」
上を目指すにはちょうどいい時期だろう。
「お疲れ様でした。イクスさんはこれでほぼCランク昇格試験を受ける条件を満たしました」
それを裏付けるように傭兵ギルドで受付嬢から知らせを受けた。
ただ、ほぼ、ということはまだ足りないものがあるということだ。
「後は何をすればいいんですか?」
「護衛依頼ですね」
「護衛依頼、ですか……」
護衛依頼は、何日も街から離れることになるし、森で従魔による人海戦術でモンスター討伐と素材集めを行う俺としては報酬もあまり良くない。
そして何より、多人数で一緒に行動することになる。それは、リリ以外の従魔を隠すようになった俺にとって都合が悪い。そのため、これまで受けるのを避けていた。
「何か問題でも?」
「いえ、大丈夫です。少し考えさせてもらってもいいですか?」
「分かりました」
即決するには少し悩んだので、一旦保留にしてもらうことに。
その日の夜。
「うーん、どうしようかな……」
俺はベッドで横になり、護衛依頼のことを考えていた。
「どうしたの、お兄ちゃん」
「また来たのか?」
「えへへへ、今日もいいでしょ?」
「はぁ……仕方ないな」
新しい家に引っ越してそれぞれの個室も持つようになったにもかかわらず、俺の部屋にやってきて一緒に寝ようとする妹のアイリ。
嬉しい反面、そろそろ兄離れしてほしい気持ちもある。でも、ついつい甘やかしてしまう。
俺の周りを固めている従魔たちがアイリの分のスペースを開け、そこにアイリが収まった。
「皆ごめんね。それで、何を悩んでたの?」
皆をひと撫でして俺の方を向くアイリ。
「あぁ。あと少しでCランクの昇格試験を受けられるんだけど、護衛依頼を受ける必要があるんだ。でも、何日も帰って来れないから母さんとアイリが心配でな」
「なんだそんなことか。大丈夫。行ってきていいよ。近所の人たちは良い人ばかりだし、この辺りは治安も良いんだから」
アイリの言う通り、それなりに裕福な層が住む場所だけあって警備がしっかりしているし、周りの人たちもおおらかというか気の良い人たちが多い。
すでに2人は打ち解けているようだし、ご近所さんなら助けてくれると思う。
アイリに背中を押されて護衛依頼に前向きになった。
それでも2人だけ残していくのは心配だ。
「分かったよ。でも念のため、ポーラとクロロに留守番として残ってもらうよ」
だから、何かあった時にいち早く回復魔法が使えるポーラと、元々アイリと契約していて、奇襲に長けたクロロを残していくことにした。
俺自身がサーシャの加護のおかげでかなり強くなっているし、ポーラとクロロの魔法は俺も使えるので、こっちに置いていっても問題ないはずだ。
「全くお兄ちゃんは過保護なんだから」
アイリはそんな俺に呆れるように苦笑した。
「ふわぁ~、それじゃあ、もう寝るね。おやすみ」
「おやすみ」
悩みが解決したところで、眠そうに欠伸をしたアイリが、就寝の挨拶をして抱き着いてくる。妹の温かさを感じながら俺も瞳を閉じた。
「ごしゅじんしゃま……」
しかし、その眠りはリタの声によって妨げられた。
『進化条件を達成しました。進化させますか? はい いいえ』
俺の前にステータスボードが浮かび上がってきた。
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