KAC20244「ささくれ借りパク」な事件は、プレミアがつくホラーのはじまりか?

冒険者たちのぽかぽか酒場

第1話 これが、本当の「ささくれ男」か?「アレを、今すぐ返してくれないか?今すぐ!」君が、ここまであせっていたミステリーな理由って?

「ゲームのやりすぎで、手がささくれた」

それは、「心のささくれ事件」のはじまり。

 「借りパク」の恐怖が、バージョンアップ!

 大人になった君は、エモい情報を知ってしまう。

 「な、何?」

 君の身体のあちらこちらから、汗が流れる。

君は、ケータイで、友だちの1人にすぐたしかめるはず。

 「今、良いか?」

 「…な、何だよ。いきなり」

 「すまないが、緊急なんだ!」

 「な、な…」

 「もう、ゆっくりしている余裕はないんだよ!」

 「何だ、何だ?地球が、滅びるのか?」

 「それに、近い!」

 「何?」

 「あ、アレは、今でも持っているか?」

 「…アレ?」

 「そうだ。アレ」

 「優勝のこと?」

 「何言ってんの?」

 「冗談だよ、冗談。どうせ、小学生のときに借りたアレのことだろう?」

 良かったな。

 君の友だちは、飲み込みが早かったようだ。

「で、今、アレがあるなら」

 「何だよ」

 「すぐ、返してもらえるか?」

 「…良いけど。ずっと借りていたのは、こちらのほうだからな」

 友人は、アレをしっかりと保管してくれているという。

友人に返してもらいに会いにいく、君。

 「じゃあな」

「…あれ?もう、帰るの?」

君は、30年ぶりにアレの動作をたしかめる。

 「…良し、問題はない!すぐに手放そう」

返してもらってなぜかすぐに手放せた君は、大満足。

君が友だちに貸していた「アレ」とは、これだ!

 「プレミアが付けられていた、今、高価で取引のされているレトロゲーム」

 急いで返してもらいたくなるのも、もっともかもね。

 早く売らないと、買い取り期間が終わったり、買い取り値が下がってしまうかもしれないから。

これは、運の良いケース。

 世の中には、こういう奴がいるから、いや。

 「…30年前のあのゲーム?今、プレミアが付いているんだろ?…すまない。あのゲームは、もう、お前のところには帰りたくないと言っている」

 こういう奴、いるよ。

 いるって。

 そういう友だちのことを、こういうんだ。

「ゲームのやりすぎじゃないほうのささくれ人間」




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