〔完結〕もう我慢できません、貴方とは離縁いたします。その夫は、貴方に差し上げます。その代わり二度と私に関わらないでちょうだい。15R
綾月百花
第1話 なんと穢らわしい 第一部
『お姉様の物は、私の物よ。
『思いません。私の彼氏に手を出さないで』
『あら、もうバレてしまったの?』
私の妹のリリーは、物心ついた頃から、私の物を何でも欲しがる癖があった。
最初はおやつだった。
次は持ち物だった。
そして、友人になり、その後は恋人になっていった。
恋人も何度も略奪されました。
婚約者も何人か奪われた。
婚約解消は5回ほどしました。
そんな私は、去年、同じ伯爵家のご子息に望まれて結婚した。
私だけを愛すると誓ってくれた男性と、結婚をしたのです。
リリーの事も話しています。
彼は『ニナしか愛さない』と言ってくださいました。
その言葉を信じて、やっと安息の場所が見つかったと思いました。
今度こそ、リリーに邪魔されることもなく、幸せになれると思った。
けれど、信じていた私の旦那様は、私を抱きながら、妹の名前を呼び果てた。
私は背筋がゾクリと震えた。
なんと穢らわしい。
「ねえ……」
「なんだよ?」
「妹と会っているの?」
「ないない」
夫は慌てて、否定したけれど、翌日に二人がこっそり会っているのを、私は見つけました。
私は朝から夫を尾行していたのです。
お昼にレストランで待ち合わせをして、豪華な食事をした二人は、公園でデートをして、夕方に馬車に乗った。
私も馬車に乗り、夫と妹が乗っている馬車を追いかけた。
馬車が止まったのは、王都にあるホテルの前だった。
私は馬車の窓を開けた。
夫と妹の姿が見えた。
二人は、まるで恋人か夫婦のように腕を組み、ホテルに溶けていった。
私は、また信じていた男性を妹に奪われたようです。
次に同じ事をしたら、姉妹の縁を切ると両親を証人にして、話し合っていた。
妹は要領がいいのだ。
甘え上手で、可愛い。
年齢は、一つ違いで、両親に溺愛されていた。
「お客さん、降りますか?」
馬車の御者が声をかけてきた。
「いいえ、このままリングス伯爵家まで行ってくれるかしら」
「へい」
馬車は実家へと走る。
私と妹は姉妹だから、よく似た顔立ちをしている。
夫は、似た顔立ちでも、妹の方に魅力を感じて私を裏切っているのね。
いつから付き合っていたのかしら?
昨日は結婚記念日だった。
夫からプレゼントされたのは、白い焼き物のブローチだった。
もらった時は嬉しかったのに、今は、その存在が疎ましく思える。
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