第14話 鋼鉄の意思

第14話 鉄板理論


鉄板を意識するようになったのは三十代だ。

いきなり今日の話をすると、今年最後のチラシ折りで

不覚にも睡魔に襲われてしまった。

鉄板理論から言わせて貰うと、複数工程のある折りで

眠くなった回数は0回だったので

鉄板信頼度は100%だった。

しかし、事実、眠くなった経験を誤魔化すことは出来ず

僕の信頼度は95%とか90%に落ち込んだ。

MAXを割ったことは屈辱だし

睡魔は突如として襲い来るものと言う刷り込みは

次回からの作業に暗い陰を落とす。

仮に眠剤の摂取が多めだった、夜更かししてゲームにかまけた

みたいな明らかな敗因があるなら

それを摘んで行くことでリスタートを切ることも出来るが

昨夜の行動を省みても、特筆すべきことは特になく。


対策としては、起立して作業を再開して

広告類を五束に集めて、集まったらまとめて折るみたいに、

作業工程にアレンジを加えて

飽き性から解脱する方法を模索しようとした。

欠伸が止まらなくなると、涙や洟でぐじゅぐじゅになるので

欠伸が出ないように作業所に飛び交う話題全部を捕まえて

相槌を打ちながら、集中力の持続に努めた。


睡魔に羽交い絞めにされていたが、労働意欲は変わらずあった。

時計を見出すと、気持を乱すので

壁掛け時計のある方向には絶対に向かず

ラジオ放送にも周波を合わせない工夫をした。

(ラジオは細かく時間を伝えてくることも)。

起立から十数分後、睡魔は完全に蚊帳の外だったが

このWORKING STYLEを気に入ってしまったので

最後までこのSTANCEで行くことに。

起立システムが次回からの鉄板理論に……?

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