社畜 色々な情報を得る
異能の使いすぎか翌日には疲れが溜まっていた
「2日間休みにしておいて正解だった……この状態で仕事は流石にきつい」
ベットで転がっているとスマホに通知が来る
それは一鬼からだった
『調子はどうだ?』
『だいぶ疲れが溜まってる。そっちはどう? 傷が癒えたとは言えまだ無理はしないように』
『そりゃあんな戦いをしたんだ。わかってる暫くはダンジョンに潜らん。そういや今日は休みなのか』
『念の為に有給を2日連続で取っておいた』
『それは正解だったな。しかし、あれほどの魔物が居るとはな。私は倒れてなくても触手を捌くくらいしか出来なかっただろう』
『あの魔物って強さ的にどんな感じか分かる?』
『どんな感じ?』
『3級の中ボスより強いとか』
『そうだな間違いなく中ボスよりは強い、経験が無いから何とも言えないが3級のダンジョンの主クラスはあるかもしれん。再生と分身の異能を持つ存在、1つ疑問はあるが』
『疑問?』
『本体が出てから分身を使っていない点だ。何か条件があるのか。それとも出す余裕がなかったのか』
『確かに分身を使えば有利に動けたはず』
分身の対応は天音には出来ない
となると必然的に蓮二が分身の相手もする事になる
分身は本体より弱く勝てる相手ではある
しかし、本体と同時に戦うとなれば話は別
同時に攻撃を仕掛けてきた場合は捌き切れなかっただろう
『まぁ今考えても答えは出ないがな。少なくともこれからの敵は2つの異能もしくは再生を備えている可能性はあるな』
『再生か……』
コアを破壊出来れば倒せると分かったがそこまで辿り着くのが至難
普通に戦っても相手が再生するなら長期戦確定
そしてコアの場所は魔物によって変わるだろう
最悪コアの無い再生持ちの魔物が居てもおかしくは無い
あの魔物自体今までの常識の外の存在であった
『天音のチャンネルで配信、私の動画で解説をして注意喚起もしてはいるがあの魔物の出現は探索者にとって最悪だな』
『突然現れた再生持ちだからね』
『それもだが中ボスのエリアだからさ』
『それはどういう?』
『あぁ詳しくないんだったな。中ボスのエリア、一応公式だと中ボスではなくエリアボスって呼ばれてるんだけど、その中ボスのエリアって魔物が来ないんだよ』
『あっ、それは天音さんから聞いたよ。中ボスも1ヶ月はリポップしないとか』
『知ってるのか。なら話は早い。中ボスが湧かない期間で他の階層の魔物が近づかないエリア、それは安全地帯になるんだ。探索者の休憩所として使われる』
中ボスが湧かない期間の限定的な安全地帯ではあるが探索者の多くはそれを利用している
魔物に襲われない安全地帯であれば食事や休憩がきちんと取れる
『成程』
『少し休憩して帰る折り返し地点にするも良し、下の階層へ潜る前の休憩地点としても良し、人によってはあのエリアで寝泊まりして魔物狩りする人もいるくらいでね』
『寝泊まり……』
魔石で金を稼ぐ人の中にはダンジョンに数日潜る人も居る、そのくらいしないと弱いダンジョンでは余り稼げない
『今回の魔物は探索者に浸透していたその常識を消し去った。安全地帯ではなくなったのだ』
『そうか……魔物が現れるなら安全地帯とは呼べない……』
『ダンジョンは危険だ。その中で唯一と言っていい安全地帯とされたエリアに突如魔物が出現したというのは大問題だ』
『唯一の安全地帯を失ったとなれば攻略に進む探索者の数は減る。でもそれが何かの問題に?』
『なるさ。ダンジョンの危険性は何かわかるか?』
『危険性? 魔物が現れること?』
『違う、土地を侵略する事だ』
ダンジョンはどこにでも現れる危険があり年々その数は増えている
ダンジョンコアを破壊すればダンジョンは消滅し元に戻るがダンジョンコアを破壊しない限りは永遠にその場に残り続ける
それ即ちダンジョン攻略が進まなければやがて世界中の土地が増え続けるダンジョンに侵略され尽くす事になる
ダンジョンは外部からの攻撃を一切受け付けない、破壊方法は唯一ダンジョンコアの破壊
ダンジョンコアはダンジョンの最深部にある
そしてその攻略時に役に立っていた安全地帯が安全地帯では無くなった今、今までのような攻略スピードは見込めない
『確かにそれは問題になってる』
住宅がダンジョンに飲み込まれたという話も幾つかある
政府が行動しようにも外の武器を使えないダンジョンでは軍隊や警察は役に立たない
ダンジョンは今までの常識の外にある、その上異能者による犯罪も起きていてダンジョンの攻略に政府は踏み出せていない
探索者は一般人でありダンジョンコアの破壊を強制する事は難しい
取引所などで支援はしているが現状はそれが限界
『ダンジョンの破壊方法は最深部のダンジョンコアの破壊、最深部に行くには大抵中ボスのエリアをキャンプ地とする』
『それは確かに最悪だな……』
『最もあと数年で埋め尽くされるとかでは無いからそこまで心配しなくていい話ではあるがな。いざとなれば私や鶏君クラスの探索者が弱いダンジョンのコアをかかっぱしから破壊していけば良い。噂ではあるが大手の企業がクランを作って探索者をサポートしていたり国家所属の異能者集団が居るとか聞くが真実はわからん』
海外では大手の企業が探索者に支援をしているが日本ではスポンサー契約をしている所は少ない
国家所属の異能者集団に関しては証拠が一切なく本当に噂程度の話
『クランか。企業がスポンサーとなって支援するのはいいと思うが探索者なんて沢山いるからな』
『そうだな。大手の企業でも探索者全員は抱えられないし配信者でも無ければ強い探索者は噂にすらならない。何より探索者は死ぬしな』
『難しい話だね』
『おっと、話がかなり逸れた。本題に入るか』
連絡した本当の理由を忘れかけていた一鬼は思い出して話を切って本題に入る
『本題?』
『また配信を手伝ってくれ。動画撮影もだが』
『配信? 別にいいけど』
『良いのだとしても話は最後まで聞くべきだ。3級の別のダンジョンの話なんだが』
『別の』
『そうだ、あそこでは無い。中ボスも倒されていない所でな。そこの攻略をしたい』
『攻略って』
『一気にダンジョンの主を倒す。今すぐでは無い。相当の準備して尚且つダンジョンの主は何度も突っ込んで撤退して対策を立てて戦う予定だしな』
『時間かかる?』
『数日かかる予定だ』
『……仕事がある』
『知ってる。だけど3級相当を進める異能者は他には余り居ないそれもダンジョンの主となれば日本で計算するが判明している数だと両手で数えられる程度だ』
『頑張ってみる』
『こちらからも少し相談してみるが』
『相談?』
『こっちの話だ。長々すまなかったな』
『いや暇していたから助かった』
チャットの会話を終える
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