社畜 劣勢

触手が襲いかかってくる

体勢を崩しながらも炎で防御する

すぐに立ち上がり攻撃をしようとするが立ち上がった頃には触手の攻撃が来ていた


「ちっ」


ギリギリで攻撃を防ぐ

炎での攻撃をしても触手で防がれ魔物は再生をし終える

(またやり直し……いや先程と同じでは無いだろうな)

魔物は戦いの中で成長している

二度も同じ手は通じない

先程の手は防がれるだろう

魔物は再び触手を地面に叩きつけて揺らす

予備動作を確認した瞬間炎を放つ

地面が揺れ再び体勢を崩すが触手の追撃は来ない

先程の炎に対して攻撃より防御を取った

再生に限界がある、しかし魔物は焦らない

攻め切られなければ勝てる

天音が触手を切って蓮二が攻撃を主にする

捌き切れない場合は蓮二も防御に回る

防御分の触手を残しながら手数で押す


『手数で来られるときついな』

『きついねぇ』

『攻撃に回す分はあっても手数で攻められると防御にも使わねばならん』

『えげつないな』

『あの魔物対応してきているな』

『対応してるね……戦いの中で成長してる』

『知能があるのかもしれんな』

『知能あるの!? 怖っ』


手数を増やされると蓮二もある程度防御に回らないと行けない

剣を振るうのには体力を使う、速い攻撃を捌くのには集中力も使う

天音は疲れてきている

(不味い)

汗をかき息が荒くなる

蓮二は天音が疲れてきている事に気づく

前に出る


「休んでいいよ」

「いえ、まだ出来ます」

「今は体力回復してくれ、攻めのチャンスに力を借りたい」

「分かりました」


天音は後ろに下がり休憩する

今の自分では役に立たない

(今は早く体力回復する)

戦う前に横に退かしておいたバックから水を回収して飲む

少しでも早く体力を回復させる


『天音ちゃん回復か』

『疲れてきてたしね……』

『スーツの人体力あり過ぎでしょ』

『仕事終わりで疲れてるだろうに魔物と戦って今も戦い続けてる』

『凄いなぁ……鍛えてるのかな』

『まぁ使ってるのは異能だから剣を振るってる天音ちゃんよりは疲れない』

『どうだろうな異能も使い続ければ疲れるって聞くし』

『頑張れー』

『そういえばあの人名前何?』

『知らない』

『そう言えば名乗ってもないし聞いてもないな』

『確かに』

『スーツの人で通じるから良いと思う……配信用の名前が無いとか』

『ありそう、まだ決まってなくて配信には出るけど名前は伏せてるとか』

『あとは正式にメンバー加入したらとかかな』

『あぁ成程』

『応援』

『せやなぁ、応援しないとなぁ』

『頑張れー』

『やれー』

『押せ~』


互いに半分を防御に半分を攻撃にして戦う

早い速度で放たれる触手の対応に追われて溜めを作れない

(くっそ、数が増えた)

触手の数を増やして攻撃してくる、その分一本一本の攻撃力や速度は落ちる

今は速度や攻撃力よりも手数が厄介


『手数増えたなぁ』

『押されてる?』

『どうだろ、まだ拮抗してそう』

『あの人の異能いつまで続くか……』

『さっきのチャンス逃したのが響いてるな』

『ダンジョンを揺らすとかとんでもねぇやり方されたからな』

『あれは初見無理だね。追撃もよく反応したよってレベル』

『あの触手の攻撃に全て反応出来てる反射神経もとんでもない。異能も使いこなしてそうだしあれで探索者じゃないとか嘘でしょ』


地面を叩き揺らして触手で追撃する

揺れた瞬間前方に炎を放って追撃に備える

しかし全ては防ぎ切れず何本かが抜ける

異能は間に合わない

間一髪で横に避けて回避する

触手の攻撃が直線上で命拾いした、防具の付けていない蓮二では一撃で致命傷になりかねない

天音は距離を取っていたので無事だった

体勢を崩されるのはキツい

少し溜めて炎を放つ

爆発するように広がる、範囲が狭いが触手を燃やす

畳み掛ける

範囲が狭くなるが炎の玉を作り放つ

手数を増やしつつ時間差で放つ

触手の防御を突破する為に

それでも全部触手を防御に回されると防がれる


「剣貸して」

「は、はい」


天音から剣を受け取る

(剣はあの一回しか使った事ないが……)

攻撃の数を少しだけ減らして炎を圧縮する

広範囲の一撃、あれは自分の視界も遮られるが魔物も見えなくなる

その瞬間が接近のチャンス、拮抗している今打開するには無理をするしかない


『剣?』

『手数増やすんじゃない? 氷の礫で』

『でもあれそんなに火力ないじゃん』

『そうなんだよなぁ。触手破壊出来るならともかくその火力も無さそうだし』

『能力ではなく剣そのものを使う気かもな』

『それってどういう?』

『まさか接近するってか? 無理だ、あの距離だから防御が間に合うが近距離では防御は間に合わない』


接近するという事は魔物の攻撃が防げなくなるリスクがある

素早い攻撃に反応出来ているのは距離があるから

攻撃から蓮二のところに届くまでは僅かかながら時間がある

接近すればその分の時間が無くなる


『だがそれは互いに言える事だろ? 魔物も防御が間に合わない』

『それは危険過ぎる賭けだ。反応速度が速いと言っても魔物より上回らないと行けない』

『あの魔物が早いかは分からないが遅くはないだろ』

『二度は通じない、今はまだ接近していないからチャンスはあるかも知れないが二度目は警戒される一度っきりのチャンス』


この魔物の同じ策は二度は通じない


『溜めてる炎で視界を塞いで突っ込む、単純だがまだしていない手なら刺さる』

『まぁまだ接近する気とは限らないし……』

『頑張れー』


炎を圧縮し終える

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