社畜 ダンジョン進む

三階層の魔物は天音を追い詰めたあの熊型の魔物

二階層に5体居たのは逃げた天音を追い掛けて来ていたからであり同時に5体出てくる訳では無い

熊型の魔物が2体同時に出てくる

天音は魔物を見て震え始める

蓮二が炎で焼き払っていた時は魔物では無く蓮二を見ていたから大丈夫だったがあと一歩で死ぬ所まで追い詰めてきた魔物を前にするとあの時の恐怖を思い出す

震えている天音に気付く

(配信に映らないようにって出来ないのかな)

余り覚えている姿なんて配信に乗せたくないだろう

ただ蓮二にドローンの操作の権利は無くドローンが何処にあるかも分かっていない

ここで小声で言うとしても不自然な動きをする事になり予想の範囲を超えないとはいえほぼバレるだろう

(これなら行けるか?)

今いる位置よりも敢えて前に出て周囲の炎を更に増やす


『綺麗』

『炎纏ってるのかっけぇ』

『炎の量の調整もできるのか。必要な分だけ引き出せるってのは良いね』

『炎の量増やせるって事はもっと広範囲で炎を放てるのか、えぐっ』

『少し広いダンジョン程度なら回避不可の炎放てそう。怖っ、魔物じゃなくて良かった』

『確かにあの炎を防げる異能者は早々居ないと思う』


炎と蓮二にドローンの映像が釘付けになっている

天音と少し距離を離したのでドローンの映像に天音は写っていない

ゆっくりと炎を操って手のひらに炎を集める

天音の異能無しで戦う

無しでも問題は無い

炎を圧縮して炎の玉を作る

魔物が襲いかかってくる

周囲の炎を前方に盾のように出して攻撃を防ぐ

炎に触れた魔物の手が焼け2体とも後退る

炎の玉を前方に放つ

放たれた炎の玉は前方に爆発するように炎を広げ魔物を包み込む

この場所では回避も逃げる事も出来ない、その上で火力もある一撃


『強ぇ』

『回避不可の広範囲えげつねぇ』

『強っ』

『強過ぎて草』

『正しく一撃必殺、流石に溜め必要そうだけどそんな時間かかってないし強いなぁ』


「行こう」

「は、はい!」


天音は先程の戦いを見て恐怖が減る

自分の前にいる人物は強く例え3級の魔物相手で逃げるような人物では無いと再認識する

最もこの男は1人だとビビり散らかし中ボスの時も普通にビビって戦えていなかった

ただ天音を置いて逃げるような人間では無いのは間違いない

天音の震えは止まり歩いていく

次は異能を使い連携して魔物を討伐する


『いやぁ一撃』

『強すぎて草』

『無双してて草』

『最近の配信新人強過ぎ問題』

『ワンチャンこの人らなら世界初の2級攻略行けるんじゃね?』

『全員揃えば可能性ありそう』


「2級……確か1番強いダンジョンなんだっけ?」


魔物が居ない間コメント欄を見れる機材で配信で流れているコメントを蓮二も見る


「はい、2級は世界中でも数個しかなくてここのように3級と呼ばれているダンジョンよりも強く現状誰も攻略出来ていない超高難易度ダンジョンです」

「1級は無いんだっけ?」

「はい、等級の中で唯一緊急性を要する1級の条件を満たすダンジョンは出現していません」


現状出ているダンジョンは2級まで、1級は今出ているダンジョンより強いか緊急性のあるダンジョンだと判定された場合に付けられる

10年以内に1級のダンジョンは1つも出ていない

10年間ダンジョンから外に魔物が出てくると言う報告も無く危険性は低いと言われてい

厄介なのは破壊するまでその地に残り続けるのと突然ダンジョンの入口が現れるのに邪魔な建造物や木々を薙ぎ払って出現する点

次に出現する場所を予測しようとしたが尽く失敗している


『2級行くの?』

『無理でしょ』

『いやぁ行けるかもよワンチャン』

『日本にある2級ダンジョンは昔の記録しか残ってないからどうなってるか分からないんじゃないっけ?』

『そうなの?』

『そそ』


「あの動画自体内部は一階層までしか写ってないので攻略に使えるかと言われると微妙ですね。貴重な情報源ではありますが」

「流石に2級は怖いな……ここより強いんでしょ」


『言うて3級一撃で倒せてるし……』

『正直あの出力で倒せないなら他の攻撃系の異能者の異能じゃ倒すの困難だと思うんだよね』

『防御にも使えてるんだから勝てるよ』


(怖いなぁ……緊急性無いなら無理に行く理由もないし)


「2級は私本当に役に立たないので私は無理ですね」


『拘束は役に立たない?』

『むしろ強い所の方が使えると思うんだけど』

『いや、天音ちゃんは防衛手段無いし2級だと死にかけてないと思うよ』

『せめて強い武器があれば良いけど』


天音は戦闘ではサポートに徹している

ダンジョンの攻略などに力を貸すがダンジョンで出た武器の優先度はかなり低く数も少ないので天音が手に入れられる武器の性能はかなり低い物となる

魔石や素材の優先度も低くダンジョンでは余り稼げない

単独では戦えないのも相まって装備が揃わない

店売りの武器も人が作った物か掘り出し物の中でも基本余り物なので性能は優秀な武器や防具に比べれば劣る

防具も付けているが安く良い性能とは言えない


「私は異能によるサポートと軽い攻撃くらいしか出来ないので優先度は私かなり低くなりますし」

「優先度?」

「あぁ、探索者の話は詳しくないですよね。ええっとパーティで戦うと魔石や素材の報酬を分ける必要があるんですよ」


『結構前衛は報酬多くなるって聞くよな』

『前衛の方が断然危険だし怪我する事もあるしな。そこは妥当だと思うぜ』

『ただ人によっては本当に支援系の異能者の報酬渋る人も出てくるからねぇ』

『取り分減らしたくないってのは分からんでもないが……』


パーティの取り分の話は元々パーティとして活動している探索者でもなければ喧嘩になったりする事がある

報酬となる魔石や素材はその日の討伐数でかなり変動する為少ないととことん少なくなる

人が増えれば1人1人、得られる数も少なくなる


「成程」

「前衛と後衛、支援系や攻撃系の異能でもかなり変動してその結果私の報酬は余り多くなくて」


(必ず足止め出来る点で決して弱くは無い。けど前衛や攻撃系の異能者に偏るのも分からなくもない)

ゲームで例えると分かりやすい

前衛と後衛では危険性がどうしても違う、支援系は重要だがそれでも魔物を攻撃して倒す攻撃系の異能者の方が優先度が高くなる

三階層の魔物を倒し切り中ボス前の四階層へ向かう階段を降りる

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