(いみエモ話)ねるねるねるねは、へっへっへ…。ひまつぶしに読むと、良いぞ…。

冒険者たちのぽかぽか酒場

第1話 「テーレッテレー!」あ~、アホくさ。あなたは、この話の意味がわかりますか?昭和版で育った世代のほうが、わかりやすいと思う。

  (いみエモ話)

 意味がわかると、エモイ話。

 あなたは、この話の意味がわかりますか?

   ☆

 テーレッテレ-!

 今日の俺は、気分が良いよ。

 キャンプ場として使っている町の広場を、奥に進む。冒険者にでも、なった気分だ。

 すると、5,6軒ほどの家や田畑が並ぶ集落が、見えてきた。

 その奥を、さらに進む。

 おや…?

 いやらしい香りが、ただよってきたぞ。

 甘くて、トロリンチョ。

 この香りの正体は、何?

 「おっと…。もう、こんな時間か」

 あたりは、充分、暗くなっていた。

 「どこかに、宿はないのか?」

 上手い具合に、一夜を過ごせるだろうか?

 不安も不安。

 レトロでさみしい場所には、不安だらけ。

 「こんな古ぼけた集落じゃあ、人なんて、いないんじゃないか?」

 奇妙なレトロは、続く。

 今度は、立派で興奮するほどの、素朴なかやぶき屋根が見えてきた。

 「こんにちは」

  1軒だけしかないその家の中に、ごあいさつ。

 「これはこれは、ひさかたぶりの客人、じゃのう…」

 家の中には、黒一色のぼろい服を着た、 1人の高齢女性がいた。

 「家のように年季の入った、 BBAだ…」

 言いかけて、口をつむぐ。

 あぶないあぶない。

 口が、悪すぎた。

 その高齢女性には、おどろおどろしそうな言い方で、語りかけられたぞ。

 「疲れたか、若者よ?早く、ねりなさい。ねる子は育つと、いうからのう…」

 え?

 おかしなことを、言ってくる。

 「はあ?ねる子?練る?イントネーションが、変わっているなあ。寝る子って、言いたかったのか?」

 この高齢女性は、奇妙すぎ。

 まだ、言ってくるし。

 「なあ、若者よ?疲れたろう?今は、休みなさいな。ねってから、夕食にしようではないか」

 やっぱりだ。

 どう聞いても、変だ。

 「寝てから」じゃなく、「練ってから」と言っている。

 …ダメだ。

 この早い時間では、寝られず。

 やっと寝られたかと思ったら、目が覚めてしまった。

 そこで、俺は…。

 見てはならないものを、見てしまう。

 「あ!」

 高齢女性が、変身していたぞ!

 頭には、黒の三角帽子をかぶっている!

 高齢女性の着ていた黒のぼろ服が、黒いローブのように見えてきた。

 な、何だ?

 「ねる、ねる。ひひひ。ねるねは…ひひひひひ…」

 ぶつぶつ言いながら、火にかけた鍋の中を、かき回しはじめたぞ。

 魔女!

 どう見ても、魔女だ!

 「ひいい…」

 キター!

 その魔女、いや、高齢女性が、呪文のようなものを唱えはじめたぞ?

 「テーレッテレー!ねって殺して、ねるねるねーるね♪ねる、ねる、ひひひ…」

 そこで、とんでもないことが起こる。

 俺が開けていた薄目と、魔女となっていた高齢女性の目が、たまたま、合ってしまったのだ!

 「おや…。寝られないのかい、若者よ?」

 高齢女性の口が、ニタアッとゆがむ。

 「若者よ…。よーっく、休みなさいな…。ねるねるねるねは、へっへっへ…ねればねるほど、色が変わる…テーレッテレー!」


  (この話の意味)

 アホくさ。

 「練る子は育つ」

 「寝る子は育つ」

 まぎらわしいな。

 ちなみに、この話の元ネタは「昭和版のテーレッテレー」。

 「平成版のテーレッテレー」とはちょっとちがうので、注意。

 …と、思っていたら。

 おお!

 魔女となった高齢女性が、鍋の中をかき混ぜる手を、止めたようだ。

 「色が変わって…。できたぞ、若者よ♪」

 美味しいコーンポタージュを、いただきました。

 「う・ま・い・ぞー!」

 …しまった。

 平成版で育った世代には、そのセリフの元ネタもわからないだろうな。

 ミスター味…。

 「テーレッテレー!」

 エモいなあ。





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