何属性の私ならお嫁さんにしてくれますか？

第7話 校舎裏

「で、僕は今からななちゃんにボコボコにされるんだね？」

「そんなことしない」

　校舎裏、ななちゃんと2人っきり。

　ではないね。ちらちらと見えている人影がある。クラスメイトだろう、その気になれば影も消せるのに、そうしないのなら初めから気付かれても良いと思っているみたいだ。

「透、学校楽しい？」

「どうしたのそんな突然。僕は今からななちゃんに告白されると思っていたのに」

「茶化さないで、真面目な話」

「楽しいよ、とってもね。ななちゃんもいるし、クラスメイトも良い人だ」

「そう、残念」

「残念なんだ……」

「うん。楽しくないって言ったら今ここで透を確保して別の国に亡命する予定だった」

「恐ろしい子……！！」

「でも楽しいなら良い。クラスメイトとのスキンシップも許してあげる」

「交友関係は許可性なの？」

「許可制だよ」

「そっかぁ」

　いつにも増して重さを感じる。ななちゃんはきっと僕を盗られると思っているんだな。そんなわけないのに。

「あのねえ、ななちゃん」

「なあに？　やっぱり亡命する？」

「しないよ？　ななちゃんは自分が戦略的価値のある人材であることを自覚してね？　下手すれば世界大戦だよ？」

「ふふ、世界と僕を天秤にかけたら透はなんて言うのかな」

「ななちゃん一択だよそんなの。考えるまでもない」

「きゅっ……！？」

　なんだ今の音、ななちゃんからした音？

「ふ、ふーん。そうなんだ」

　すごいな、髪が沸騰してる。そんなに動揺させるような事を言ったかな。

「透、愛してる。結婚してください」

「はいはいありがとう、でもダメだよそんな勢いで結婚を申し込んだら」

「ダメ、なの？」

「いつも言っているけど、一時のテンションに身を任せるとろくな事にならないんだから。良いね？　もっとよく考えて、慎重に相手は選ばないと。僕は慣れてるけど知らない人が見たら誤解を生んじゃうよ」

「誤解じゃない！！　真剣なの！！」

「本当に？　属性に引きずられた考えじゃないって言える？」

「それは……分からない。でもこの心は何属性でも一緒」

「ごめんね。僕はそれを信じられない。たとえば今ここでOKをして、明日のななちゃんにそんなの知らない、興味ないなんて言われたら僕は耐えられない」

　これが一部本心だ。安定しているとはいえ、ななちゃんの性質は未知。明日も今日と同じ心を持っているとは限らない。

　だから、僕は、返事ができない。ただ、無属性の君が言うのならその時は。と思っている。

「……透は意地悪」

「ここは譲れないよ。ななちゃんのことは大事だけどね」

「分かった。けど、帰ったらいっぱい甘やかして」

「分かりました。目一杯甘やかします」

　何とかおさまったかな。

「そうは問屋がおろさないんだなこれが」

　ここで来るかクロコさん……今日はずっと避けてたからな、何を言われるか。