第47話 何処まで進むか?
……
俺たちは二回目となる、リュウガンロ鉱床の探索をしている。
今回からはリンが唱えた『ワットブライト』で光球を出しているから、コハルは自らを光らす行為はしていない。
また、リンの意志である範囲までは、光球を操作する事も出来る。
なので、前回と比べて探索・索敵がしやすくなり、俺たちは魔物からの奇襲攻撃を受ける事は無く、鉱床奥へ足を踏み入れて行く……
歩哨だけは、ゴブリン二体からオーク二体に代えられていたが、鉱床内に居る魔物は前回と殆ど変わらなかった。
敢えて言うのなら、ゴブリンが少数追加されたぐらいだ。
俺たちには都合が良い事で有るが、今日は一体何処まで探索をするのだろうか?
☆
坑道内の開けた場所で、俺たちは小休止と糧食を摂る。
糧食のメニューは、前回とほぼ同じで有った。
糧食なので
俺は食パンを食べながら、コハルに尋ねる表情で話し始める。
「コハルさん!」
「今回は、何処まで進むのですか?」
「んっ?♪」
「そうね~~。聞かれたから答えるけど、思い切って鉱床まで行きたいと思っている!」
「此処から鉱床まで後少しだし、あなたたち三人も、前回と比べれば疲労がまだ見えていないから行けるんじゃ無いかな?♪」
コハルは笑顔で俺に言う。
俺たちは連携した戦闘を取っているから、アスの魔力や気力も問題ないし、リンも疲れを一切見せていないから、無理をすれば可能かも知れない。
俺とコハルの話を聞いていたアスが、果物の林檎を食べながら、俺に澄ました表情で話し始める。←果物ナイフは有るので、林檎は切って食べている
「スズヤさん!」
「コハルさんは最後までを望んでいる感じですが、私は少し反対です…!」
「連携の取れた戦闘は出来ていますが、鉱床奥地まで行ってタングステン鉱石を採取しても、私たちは坑道入口まで戻らないと行けません」
「鉱床目前に必ず何かが居るはずですから、今回はその直前までにするべきかと……」
「アスは反対か……!」
「ゲーム世界の様に、ステータスが何処かに表示されていれば、それをに頼る事が出来るのにな……」
俺は、頭を上に向けながら一人しゃべりをする。
俺のいる異世界は、魔王がいるし魔法も使える世界で有るが……HP・MPのステータス表示は一切見当たらないし、魔物を倒してもキラン(金)を持っていたり、レベルアップのファンファーレが鳴ることも無い。
「……また。スズヤは変なことを言っている!」
「ゲームの世界って、なんですか?(怒)」
リンはジト目表情で、俺に苦言を言っている。
リンは俺の事が好きで有る癖に、俺が別世界から来た事を全く信じていない。←リンの中での、俺の前身分は旅人の人
「まぁ、まぁ、リンさんも落ち着いてください!」
「スズヤさんは、こう言う人だと思えば良いんですよ!///」
アスは困った微笑み表情でリンに言うが、アスの中でも俺は『変人』と認識しているのか!?
リンも困った微笑み表情で、アスに話し始める。
「だよね……アスちゃん! スズヤは……真のメルメーサ王国民では無いけど、スズヤは日本から来たと言うのだよ!!」
「この世界に、日本なんて言う国は無いのにね!!」
「日本……?? 私も初めて聞く名前です?」
「スズヤさんは、日本から来た人なんですか??」
「~~~♪」
リンの言葉の後。アスは少し驚いた表情で俺に話す。
コハルは笑顔で、俺たち三人の会話を聞いている。
俺はアスには
「隠しているつもりは無かったんだけど……アス!」
「俺は、日本と言う国から来た人なんだ!!」
「この世界ではスズヤだけど、前世界では最上鈴谷と言う名前で有ったんだ!///」
「…………」
アスは『目をぱちくり』させながら聞いているが、しばらくすると吹き出し笑いをしながら話し始める。
「ぷっ♪」
「スズヤさんは面白い人ですね~~♪」
「流石、灰属性の人ですね!」
「センスがやはり違います~~(笑)」
「…………」
(あの、生真面目なアスも俺の事を信じないか///)
(俺だって、前世界に居た時は異世界なんて、架空の世界だとずっと思っていた…)
「三人とも元気だね~~♪」
「もう少ししたら、出発しようか~~?♪」
俺たちの会話を区切る様に、コハルが笑顔で話す。
コハルも俺が異世界から来た事を聞いていたが、コハルはどう感じ取っているのだろうか?
……
小休止後の鉱床探索は、俺はアスの意見を受け入れて、今回は鉱床手前で打ち切る。
コハルが反論をするかと感じていたが、コハルは『じゃあ、それで行こうか!』と、笑顔で言うだけで有った。
「リン…!」
「ワットブライトを消して!!」
「えっ!?」
「あっ、はい!!///」
コハルが突然。リンに指示する口調で言う。
リンは驚きながらも『ワットブライト』を消す。←白魔法の一部は、魔法解く事も可能
すると、コハルは弱い光で自身を光らせ始めるが、コハルの表情は笑顔では無く真面目な表情に変わっていた。
コハルはその表情で、俺たち三人に向けて話し始める。
「……この先を曲がって少し行くと、鉱床に到着する」
「でも……みんなの予想通り。かなり強そうな……何かが居るけど、其処までは分からない」
「スズヤ…。アスの予定では此処までだけど、此処で引き返す?」
「それとも、やはり進む?」
後半の文章は、俺に意見を求めるコハル。
だが、俺の中では答えが出きっていた。
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