第42話 引き返すが……

 ……


 小休止の後は再びコハルが光って、鉱床探索が再開される。

 小休止時にコハルから聞いた話に依ると、今の所で大体中間地点らしい。


 ゲームの世界で言えば、先ほどのオークが前哨戦と成るだろう。

 なので、後半分進めば……タングステン鉱床と中ボスに辿り着く事と成る?


 オーク以降も魔物が出て来るが、基本は大型コウモリや大鼠が中心なので、戦闘には苦労しないが……最初と比べて出現頻度が増えてきた気がする?


「ふぅ…///」


 小休止時に、アスの魔力は多少回復した感じで有ったが、戦闘を重ねる度に再び疲れを見せ始める。

 アスの魔力はまだ有る筈だと思うが、気力(意志)も大事で有る。


 幾ら魔力が有っても気力が弱ければ、狙い通りに攻撃魔法が当たらなかったり、失敗する可能性も出て来る。

 一番後ろに居るコハルが、落ち着いた口調で俺に話し掛けてくる。


「スズヤ! 今日は、此処までにしない?」

「アスちゃんの疲れも出て来たし、今日は状況を調べるのが目的で有るからさ~~」


「……そうですね、コハルさん!」

「これ以上奥に進んで、もし、中ボスと遭遇してしまったら、俺たちのパーティーは多分全滅するだろう…!」


「…………///」


 俺は難しい表情でコハルに言う。

 好戦的で有るアスも、申し訳ない表情をしているだけなので、かなりの限界で有るのだろう。


 この中で唯一元気で有る、リンが俺に向けて穏やかな表情で話し始める。←リンは全く戦闘に参加していない(白魔法は攻撃魔法がほぼ無い)


「スズヤ! そうしましょう!!」

「これ以上の探索は止めましょう!!」


 ……


 本日の鉱床探索はここまでにして、俺たちは鉱床入口に引き返す。

 だが、アスの疲労は想像以上だったらしく、歩くのもやや困難に成っていた。


『にょろ、にょろ、―――』


『にょろ、にょろ、―――』


「……すいません、コハルさん///」


「~~~♪」


 なので、コハルがアスを背負って、俺たちは鉱床入口に戻っている。

 アスが申し訳ない表情でコハルに言っている中。コハルは笑顔で返事をしていた。


 今後の魔物退治は、俺とリンだけで対処しないと行けない。

 だが、リンは嬉しそうな表情で俺に話し始める。


「スズヤ!」

「私はまだ魔力がしっかり有るから、怪我を幾らしても大丈夫だよ♪」


「……(汗)」


(怪我等はスイスイで治せるが、噛まれたり、殴られた時は痛いんだよ///)

(だが、アスにはもう頼れないから、俺とリンで対処しないと……)


 火炎放射が出来るコハルは『最後は私が助けて上げるけど、それまでは頑張ってね♪』と、笑顔で言われてしまう///

 コハルは俺たちの正式パーティーでは無く、今回だけの臨時メンバーで有る。


 ……


「クソ!」

「こんな時に、ゴブリン三体と出会でくわすとは!!」


 俺は悔しい言葉を出す。

 後少しで出口の所で、俺たちはゴブリン三体と遭遇してしまう!


 鉱床内には全く居なかったゴブリンが、此処に成って出て来た!!

 恐らくだがこのゴブリン三体は、歩哨交代に来たゴブリンで有ろう。


 歩哨ゴブリン二体が殺されていて、交代で来たゴブリン三体が、鉱床内の捜索を始めだして……遭遇してしまった。


「~~~♪」


「……zzz」


 案の定。コハルはアスを背負ったまま、嬉しそうな表情でゴブリンの群れを見ているだけで有る。

 そして、コハルが何かをしたらしく、アスは熟睡していて起きる気配を見せない。


 俺は此処で、魔法剣を作る事を決める。

 火球魔法で有る『ブランド』で応戦しても良いが、この魔法は単体攻撃しか出来ないの上、今回は三体も居るので『ブランド』で魔法剣を作る。


「モージスク・スバッド ブランド」


 俺は真剣な表情で魔法を唱えて、炎を纏った魔法剣を作り出す。

 魔法剣に成った剣は、真っ赤に燃えている。←スズヤの手袋は耐熱・耐冷手袋


 それを見ていたコハルは、歓喜を上げ始める。


「おぉ! 成功したね~~♪」

「スズヤはこれで、本物の灰属性だ!!♪」


「……(汗)」


「……(汗)」


「……(汗)」


 俺が魔法剣を作り出した事で、ゴブリン三体は動揺を見せている。

 俺を其処らの戦士と見ていたのだろう!


 俺はその隙を突いて、助走を付けてゴブリン(A)を魔法剣で切りに行く。


『バシュ!』


「ギャアアァァーー」←ゴブリン(A)の断末魔


『バタン!』


「!?」


「!?」


 ゴブリン(A)は、剣で切られると同時に肉体も炎で焼かれる!

 この痛さは剣で切られるより、遙かに激痛のはずだ!


 激痛に耐えきれず、ゴブリンは一発で絶命する!

 後の二体は、仰天表情で見ていた。


 だが、ゴブリン二体は直ぐに我に返り、一体(B)は俺の方、もう一体(C)はリンの方に向う。


「……!」


 だが、リンは勇ましい表情に成って、ウリンの杖を両手に持って防御体勢を作る。

 雄叫びを上げ、棍棒を振り上げながら迫り来るゴブリン(B)に対し、俺は剣で防御体勢を取る。


「グアァァーー」


『ブン!』


『ガツン……バキィ!』


「!!!」


 俺は剣で棍棒攻撃を防ぐと……棍棒が剣身ブレイドに当たるが、しばらくすると棍棒全体が燃えだして、棍棒が一気に炭と成り砕け散る!!

 ゴブリン(B)は『何が起きた!?』の表情をしている。


 俺はすかさず、剣を振り下ろしゴブリン(B)を切り裂く!


『バシュ!』


「ギャアアァァーー」


『バタン!』


 ゴブリン(B)も、ほぼ即死で倒れ込む。

 ゴブリン(C)がリンの方に向っているが、しばらく耐えてくれよリン!///

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る