第34話 マッカー・ナポレン王からの頼み
「スズヤと言ったな!」
「……こちらに来たまえ!!」
「……」
王は目を細めながら、俺に低い口調で命令する。
俺は無言で、王の元に近付く。
王の年齢は神父と同じぐらいか、それより少し若い感じもする。
服装はゲームで見慣れた、王様らしい格好をしている。
王は真面目な表情に成って、俺に言い始める。
「……紹介が遅れたが、
「身分は見ての通りだ……スズヤ。君は、この王国民の人間だと思うが、どうかね?」
「ナポレン様。俺は王国民で御座います」
俺も真面目な表情で、ナポレン(王)に話す。
ナポレンは『理解した表情』で、俺に話し始める。
「君も知っていると思うが、ここ最近の王国軍は劣勢で有る!」
「君の事は……実は知らない訳では無く、神父から話を聞いている」
(そうだよね…)
(神父は元、軍の大将だから)
「戦没した、元第一師団長で有った。ブルーレイ中将の娘で有る、ブルーレイ・リンと共に教会で暮らしている事も知っている」
「ブルーレイ中将も優秀で有ったが、その娘の評判も私の耳に入っている!」
「そして、その教会には近年稀に見る、ずば抜けた黒魔法使い素質を持っているヒイラギ・アスがいる事も知っている」
「ヒイラギ・アスのご両親は、王国の為に奮闘を尽くし、王国の為に命を捧げた……」
「
「大体の者が、7割前後の魔法取得や魔力の拡張しか出来ないのに、彼女はパーフェクトでやり遂げおった!」
「…………//////」
ナポレンの言葉を聞いていたアスは、頬を染めて恥ずかしい表情で俯いている!
アスはそんな事を、一言も俺やリンには言わなかった!←リンは白魔法使いなので同室で訓練はしていない
「この魔王軍のとの戦争長期化で、我が国は多数の兵士を亡くし続けており、また国力も疲弊し始めている」
「防戦はまだ出来るが、現兵力では攻勢に出る事はほぼ出来ない…」
「私は先ほど、スズヤが陰陽(灰)魔法使いだとコハルから知り、私はある事を考えた……」
「君は男性の癖に料理が上手だと聞くし、閃きが凄いらしいから現地調達でも、旨い飯を作れるだろう!」
「率直に言おう!」
「スズヤ、リン、アスの三人で、魔王を討伐してくれないかと……」
「君たちは皆。教会に属している人間だが、私の権限で全て特例にしよう!」
「元々、この教会の神父を任命したのも、この私で有るしな!!」
「えっ!?//////」
「!」
「!!///」
ナポレンの言葉で俺は驚きの表情と声を出し、アス、神父は同時に驚く。
一国の軍隊でも苦戦している魔王軍に、どうして三人足らずの兵力で、魔王軍と真正面からぶつかり合わないと行けないのだ!?///
それと、教会の神父もナポレンの意図が有ったとは……だから、王国軍の元大将が神父に為れたのか!!←神父は別に悪い人では無い
その言葉を聞いた神父が焦った表情で、ナポレンに意見具申を始める。
「ナポレン王! それは厳しすぎますぞ!!」
「スズヤはまだしも、リンやアスはまだ未成年ですぞ!!」
「一国の王がそんな行為に走ったら、流石の王国民達も黙っておりませんぞ!!」
「子どもを戦地に送り始めるなんて、負け戦の象徴ですから!!///」
「それは、分かっているよ。神父いや、元クローゲン大将!」
「……だが、攻勢に打って出る兵余力は無いし、精鋭の黒魔法(使い)部隊だって、アスと比べれば見劣りする連中ばかりだ…」
「そもそも、
「白魔法使いは兵士の為に、最前線で激務に耐えているのに……」
「王国城を守るのに、20人や30人の黒魔法使いは要らないのだよ!」
「その癖。給料は下士官並に持って行く……」
ナポレンは、吐き捨てる表情で神父に言う。
(だから先日の、ゴブリン30体以上が攻めてきた割りには、歩兵部隊(兵士)ばかりで有ったのか!)
(王国城にゴブリンが接近していたのも有るが、俺たち三人に王国城からの軍事支援は一切無かった……)
ナポレンの言葉通りなら、攻勢に使える兵士は無しで有り、白魔法使いも余力が無く、守りに入ってしまっている黒魔法使いばかり居る!?
「…………」
神父も王の言葉で、悔しそうな表情で頭を下げる。
神父は元。王国軍の大将で有ったから、その実情を知っているのだろう。
その時。アスが頬を染めた真剣な眼差しで、ナポレンに言い始める。
「ナポレン王様! 私は、魔王に復讐をしたいです!!//////」
「その為なら、私は喜んで魔王討伐に向います!!//////」
「父と母の
「!!!」
「!!!」
「~~~♪」
アスの突然発言で、俺と神父は大仰天する!
だが、コハルだけは笑顔で喜んでいる!!
幾ら何でも性急すぎるぞ。アス!!
それにリンが居ない場面で、リンを勝手に巻き込むな!
(リンが拒否したら、俺はアスと行くしか……それは無いか///)
最近と言うのも可笑しいが、リンは完全俺に惚れている。
神父の所為で俺はチー牛では無く成ったが、俺とリンでは年の差過ぎる。←満更嫌でも無い///
最初の内こそ、リンは父親目線の好意で俺は見ていたが、最近のリンは完全異性の目線で見ている……
俺は困った表情でナポレンに話し始める。
「ナポレン王!」
「アスが先ほどそう言いましたが、リンがこの場に居ませんし、俺はまだマホトットすら貰っていません!!」
「いずれ、その時期が来るでしょうが、今この場で決める事では無いと、俺は感じています!」
「……それも、そうだな。スズヤ!」
「君に、陰陽魔法使いの素質が有っても、先ずは魔法訓練から始めないとな……」
「なら、今回の話は此処までだ!」
「スズヤのマホトットは、数日中に進呈しよう!!」
……
アスの突然暴走には驚いたが、俺には素質が有るのが分かっただけで有り、まだ何も魔法は使えないし、魔法剣が本当に俺で扱えるかも分からない。
神父、俺、アスの三人は、王国城から教会に帰った……
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