第32話 白か黒。それとも無!?

「では、早速始めましょうか?」

「私の側に来てくれるかな?♪」


「はい……分かりました」


 コハル(大蛇)は、笑顔で俺に向けて話す。

 俺は緊張した表情で、コハルに近付く。


 後。コハルは性別を言わなかったが、名前と話し方から見て雌蛇なんだろう。

 これで、雄蛇で有ったなら怖すぎる!///


「よっと……じゃあ始めるけど、もし、苦しかったら言ってね!」

「少し緩めるから!!」


 コハルは澄ました表情で有るが、口調は優しい口調で俺に話す。

 言葉の後。コハルは俺の体に巻き付き始める!


『にょろ、にょろ、―――』


『にょろ、にょろ、―――』


「……///(汗)」


 コハルは慣れた動作で、俺の体に巻き付く。

 苦しくは無いが……とても恐怖感は感じる。


 俺の体に巻き付き終わったコハルは、俺に笑顔を向けて話し始める。


「では、今から、適性診断を始めます!」

「よろしいですか?」


「……はい!」


 俺は少し恐怖感を感じながら、コハルに返事をする。

 さて、俺の適性診断の行方は!?


 ……


 コハルは診断を始めるが、悩んだ表情で一人しゃべりを始める?


「うーん?」

「これは、これは……まさか、有り得ないと思うんだけど…」


「私が先代から引き継いで、何百人と見てきたけど……こんな事が起きるなんて!?」


「あっ、あの。コハルさん///」

「何か、問題でも起きました?」


 俺は、恐る恐るの表情でコハルに尋ねる。

 コハルは『あはは』の表情で、俺に話し始める。


「いや~~、あなた凄いよ!」

「でも、もう少し待ってね。この診断を確実にする為に…」


「……///」


 俺はと思うけど、コハルに異世界から来たのがバレてしまったのかと感じる。

 コハルは俺から情報を得る為に、俺の体に巻き付いているのだから、適性診断以外に色々な部分も、きっとコハルは見ているのだろう?


(もし、俺が異世界からの住人だと、コハルに知られたらどう成るのだろうか?)

(そのまま喰われる!?)


 ……


 だが、俺はコハルに喰われる事は無く、適性診断は終わりを迎える。

 俺の体はコハルから解放されて、俺はコハルの真正面にいる。


 何故かコハルは、にこにこ笑顔で俺に話し始める。


「では、診断結果を報告します!♪」

「あなたの診断結果は、でした!!♪」


「?」


(灰…?)

とかでは無く!?)


 コハルの言葉に理解出来ない状態で有るが、コハルはその表情で勝手に言葉を続ける。


「私。初めて見たよ!♪ 属性の人なんて!!♪」

「これは、王国の救世主になるかもね!!♪」


「!?///」


(俺が救世主!?)

(全然。コハルの言っている事が理解出来んぞ!!///)


 俺はリンやアスから、魔法に関する事は聞いているが、白魔法や黒魔法が有っても、灰魔法なんて無いはずだ!

 と考えれば辻褄が合うが、素質が無い人間をコハルが喜ばないだろう!?


「あっ、あの……すいません。コハルさん」

の結果はどう言う意味ですか? 白や黒とはまた別物なんですよね??」


 俺の言葉の後。

 コハルは嬉しそうな表情で、俺に話し始める。


「あぁ!///」

「あなたは灰魔法を知らないのね///」


「別名。陰陽いんよう魔法!」

「あなたは、白と黒のハーフなんだよ!!♪」


「先代の時も居たらしいけど、私が見るのは、本当初めて~~♪」

「多分……先代も加えて、二人か三人目ぐらいじゃないかな♪」


「…………」


(なんか、凄い結果が出たと言えば良いんだよな?)

(白・黒魔法が両方扱える、エリート魔法使いに俺は為るの!?)


 コハルの言っている言葉を俺はようやく理解して、コハルに興味を持った表情で話し始める。


「コハルさん!」

「俺は両方を兼ね備えた、スーパー魔法使いになるのですよね?♪」


「んっ…?」

「為らないよ!♪」


「はっ……」


 コハルが笑顔で、拒絶の言葉を出す!

 俺はその言葉を聞いて『鳩が豆鉄砲を食ったよう』な表情と声を出す!


 コハルは困った微笑み表情で、俺に説明する様に話し始める。


「あなたの属性は確かに、白・黒の両方が扱えるけど、どちらも中級程度の魔法までしか扱えない!」

「白魔法で有るならスイスイ程度だし、黒魔法もブランド・イス位しか扱えない!」


「灰(陰陽)魔法使いは、非常にレアな魔法使いで有るけど、魔法使いとしては外れの部類となる!」


「……(汗)」


(なんだそれ! 只のぬか喜びでは無いか!!///)

(白黒両方扱えても、大怪我程度までのスイスイと、コウモリや鼠しか焼けない火球魔法など、町の便利屋並みのレベルだよ!?)


 俺が心の中で感じていると……コハルが顔をながら話し始める!?


「魔法使いとしては外れだけど、これに戦士の力を加わると、一気に最強へ成るんだよ~~♪」

「灰魔法使いだけが唯一使える特殊技。魔法剣を作り出す事が出来るんだから~~♪」


「!!!」


 コハルの言葉を聞いて、俺は著しく驚く!!

 魔法剣って……剣に魔術を掛ける事だろ!?


 映画の名シーン等でも、良く描写される魔法の剣!

 俺は心の中で思い始める。


(剣にブランドなどの魔法を掛けて、炎を纏った剣でゴブリン等を切れば、剣で切るより遙かに大ダメージを与える事が出来るだろう!!)

(それにこの異世界はRPG要素が出ているから、魔法剣で戦わないと勝てない魔物も居るんだろ!?)


 俺は異世界で子ども食堂を開いて、のんびり過ごそうと思っていたが、話の流れが変わり始めていた……

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