第24話 敵の侵入を許す
「……///」
「……」
「……(泣)」
教会内(礼拝堂)は、養護施設の子どもたちが集合していた。
そして、子どもたちの表情は、みな不安そうで有った。
養護施設は木造で有るが、教会はレンガで作られている。
万が一の事を考えて、神父やシスターが、早期に教会へ子どもたちを避難させたのだろう。
後は……王国軍が、ゴブリンを退治してくれれば良いのだが……
……
俺とリンは現在。教会の礼拝堂にいる。
礼拝堂には養護施設の子どもたち及び神父、シスターも居る。
シスターはアスと共に、子どもたちの見守りをしており、神父は祭壇でお祈りをしている?
魔王軍のゴブリン30体以上が、パプテトロンに接近中で有るが、王国軍も迎撃部隊を出して……間もなく戦闘が始まるのだろう。
もし、王国軍が迎撃に失敗したら、間違いなく市街戦に突入してしまう///
「…………///」
リンは不安そうな表情で、俺の側にいる。
本来ならリンも、子どもたちの見守りをしなければ成らないのだが、其処まで気が回らないのだろう……
俺は尋ねる表情で、リンに話し始める。
「リン……こんな時に聞くのは何だけど、魔王軍に襲撃されるのは今まで有ったの?」
「無いと言えば嘘に成りますが、ゴブリン30体以上の数で襲ってくるのは初めてです」
「今までは、魔王軍が現われてもスライムや、
リンは悲しい表情で俺に話す。
俺の知っているゴブリンは、RPGの中では、初期配置のモンスターに成るのだが、この異世界では中盤以降の位置づけに成っている?
「~~~」
「~~~」
その時。神父は何かを察知(?)した様で、俺には聞き取れない何かを呟いている。
神父の表情は、凄く険しい表情をしているから、これはかなり不味い状況か?
神父は険しい表情をしながら、祭壇から急に話し始める。
「みなさん…。落ち着いて聞いてください!」
「神からのお言葉に依りますと……ゴブリン数体が、P1ゲートを突破した模様です……」
「P1ゲートは、王国城や教会への最短ルートと成ります」
「ゴブリンは王国城に向うと思われますが、こちらに来る可能性も非常に高いです……」
「……」
(神父は『神からのお言葉』と言ったが、どうやって近況情報を得ているのだ?)
(神父だから、千里眼や地獄耳(!?)の能力でも持っているのか??)
ゴブリン数体が、パプテトロン市街に入るゲート(P1)を突破した。
だが、ゴブリン30体以上が接近中の方向は、P4ゲート方向と成る。
(考えたくも無いが、ゴブリン30体側の方は陽動作戦か!?)
王国軍の迎撃隊は、既に30体側の方に向っているから、王国城の防備はかなり手薄に成っている。
魔王も、タダの筋肉馬鹿ではなさそうだ……
すると……神父が祭壇から下りて来て、俺の方やって来て『言いにくい』表情で俺に話し始める。
「……スズヤ」
「あなたは唯一。この中でいる青年だ!」
「教会の裏には、先日殺した魔物の匂いがまだ残っている……」
「ゴブリンはこの匂いを嗅ぎつけて、教会に間違いなく来るだろう」
「そして、同時に子どもたちの匂いへも気付く……凄く済まないがスズヤ。遊撃に出てくれないか?」
「武器を渡しますから……」
「!??」
(なんで、そうなるの!?)
(スライムも倒した事が無い俺に、どうやってゴブリンを倒せと言うのだよ!///)
(ゴブリンだけど、素手では無く
(犬死も良い所だよ!(泣))
俺は頭の中で混乱していると……アスが澄ました表情と冷静な口調で、神父に話し始める。
「神父…! スズヤは確かに青年ですが、戦士の様な風貌は見られません…」
「此処はスズヤでは無く、黒魔法が使える、私が出るべきでは無いでしょうか!?」
「……」
神父はアスの言葉を聞いて、難しい表情で黙ってしまう。
神父の中では、アスはまだ未成年の女性で有るから、戦地には出したくないだろう。←俺は大人だから良い!?
でも、アスがゴブリンの迎撃に出るのに、俺が安全な教会内にいたら、それを見た子どもたちは間違いなく、俺を失望するだろう……
(アスを出汁にして俺も迎撃に出るか。アスは攻撃魔法が使えるから、もしかしたら、俺は何もしなくても戦いが終わるかも知れない?)
心の中で決めた俺は、意を決した表情で、神父に話し始める。
「神父! では、俺は遊撃に出ます!!」
「但し、補佐として、アスも参戦させてください!!」
「単体のゴブリンでしたら、俺でも対処可能ですが、複数で来られますと厳しいですから!」
「スズヤさんが出るなら、私も出ます!」
「私は一応。白魔法使いですから、スズヤさんのサポートが出来ます!!」
俺が参戦を表明すると、リンも強気の表情で参戦表明をする。
リンは回復魔法である『スイスイ』が使えるから、後方支援には持って来いだ。
「……リンが白魔法使いで有る事は、リンの母親であるマリコから聞いていました」
「では、スズヤ、アス、リン。三人で、教会周辺の監視と教会防御をお願いします…!」
神父は決断した表情で、俺たち三人に向けて話す。
俺の、真の異世界デビューの時でも有った。
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