攻勢をかけ始める魔王軍

第16話 養護施設での自己紹介

 ……


 俺はスズヤ!

 前世界で自殺を計ったら何故か、異世界に飛ばされてしまった!///


 異世界定番での、神様のたぐいは一切出ず、気付いたら俺は異世界にいた。

 だが、俺は自炊のスキルを活かし、教会が運営する、(児童)養護施設の厨房担当の仕事に就けた。


 給料は月給5万キランと、日本で言う高校生アルバイト並みの金額で有るが、俺は住み込みで働くし、賄いの名目で食費もほぼ掛からないから、案外この給料でも暮らしていけるだろう?

 俺が住み込みを始める時に、この異世界で俺を助けてくれた、リンと言う少女も付いて来る流れと成った。


 リンは凄く、俺の事を気に入っており、リンの母親で有るマリコ容認してしまった為、この様な流れと成った。


 ☆


 マルコ532年10月29日

 今日は日曜日である!


 日曜日恒例の日曜礼拝を教会で済ませ、リンの母親が神父たちに挨拶後。俺とリンはシスターの案内で、養護施設の方に向う。

 養護施設に保護されている子どもたちとは、先日や今日の日曜礼拝で会っているが、正式な挨拶はこれからで有る。


 だが、その前に養護施設内に有る、一応職員向けの部屋から案内が始まる。

 俺とリンは同室では無く、二部屋有るから別室で今日から、養護施設建屋での暮らしが始まる。


「スズヤ、リン。見ての通りの部屋です!」

「一応ですが前日。子どもたちが掃除をしてくれました!!」


 シスターは俺の部屋と成る、部屋を見せながら俺とリンに向けて、穏やかな表情で説明する。

 室内は……左側にベッドが有って、真ん中に出窓。右側には物書きが出来る机と空で有るが本棚も備わっている。


 俺の場合はこれで終わりだが、リンは女性のため、机の手前に鏡台が置いて有るそうだ。

 トイレは共同で有り、風呂に関しては、ぬるま湯で体を拭くか行水ぎょうずいがメインの世界だ。


 俺とリンは、各自の部屋に荷物を置いてから、シスターの案内で食堂に向う。

 この養護施設のメインフロアは食堂で有り、食事以外のイベントをする時は、机や椅子をどかしてスペースを作るそうだ。


 俺とリンがシスターの案内で食堂に入ると、食堂の椅子には子どもたちが各椅子に座っている。

 俺とリンは転校生の気分で、シスターから紹介の挨拶が始まる。


「みなさん!」

「もう既に、お分かりでしょうが、今日から新しい先生たちが入ります!」


「スズヤは皆さんの食事を担当してもらい、リンは皆さんを見守る担当です」

「では、スズヤ先生から紹介をお願いします!」


 シスターは和やかな表情で、子どもたちに向けて話した後。俺に話しを振る。

 俺は少し緊張した表情で、子どもたちに向けて話し始める。


「えっと……シスターから紹介されました。スズヤです!」

「みんなに、美味しいと言ってくれる料理を、毎日頑張って作ります!!」


『ぱち、ぱち、―――♪』


 俺の言葉の後。子どもたちが拍手をしてくれる!

 何か……小学校時代を思い出してしまうな///


「スズヤ先生。ありがとうございます!」

「では次にリン先生。お願いします!」


 拍手が一段落したのち。シスターは和やかな表情で、リンに話しを振る。

 リンは穏やかな表情で、子どもたちに向けて話し始める。


「みなさん。こんにちは!」

「私は、リンと言います!!」


「最初の内は不慣れで、皆さんにご迷惑をお掛けしますでしょうが、よろしくお願いします!」


『ペコリ』


 リンは言葉の後。おじぎをする。

 やはり、リンは礼儀正しいな!


『ぱち、ぱち、―――♪』


『ぱち、ぱち、―――♪』


 その後。子どもたちは先ほど同じ様に拍手をするのだが、リンの方が多い気する?

 拍手が落ち着いたのち。シスターは穏やかな表情で、子どもたちに向けて話し始める。


「二人の紹介は終わりで、これでお開きとします!」

「各自の部屋に戻って良いですよ!!」


『がや、がや、―――』


『がや、がや、―――』


 シスターの言葉で解散と成って、子どもたちは各自の部屋に戻っていく中。

 一人の少女が、シスターと俺たちの側に来る。


 一人の少女は俺とリンに向けて、和やかな表情で自己紹介を始める。


「スズヤ先生、リン先生。一応初めまして!」

「この施設の子どもたちを纏めています、アスと言う者です!」


「どうか、よろしくお願いします!!」


『ペコリ』


「……」


(この人が……以前シスターが言っていた、アスと言う人か!)

(年齢を聞くのは失礼に当たるが……中学生ぐらいに見えるな?)


 アスのおじぎ後。俺が心の中で感じていると、リンが興味を持った表情でアスに話し始める。


「アスちゃん。よろしくです!」

「私は17歳ですけど、アスちゃんは何歳ですか?」


「リン先生……私は15歳です!」

「この施設の中では、最年長と成ります!!」


「私は、正式な先生では無いですが……みんなからは、アス先生と呼ばれています」


 アスは控えめな表情でリンに話す。

 アスは15歳らしい。


(まだアスは15歳なのに、二十数人の子どもたちを見ているのか!)

(それにしても、黒髪ロングヘアーが似合う綺麗な少女だ!)


 同じロングヘアーでも、アスの方が清楚に見える?

 アスの髪型は黒髪ロングヘアーで有り、ブラウスの上に水色のAラインワンピースを着ている。


 如何にも、真面目な少女を連想させるアスだ!

 リンよりも、アスの方が童顔に見える……まぁ、15歳だから当たり前か///


(そう言えば、今更で有るが……この養護施設。男子が異様に少ないな…)

(比率で言えば7対3か? それに男子も、小学生ぐらいまでの男子しかしない感じだ)


(未成年でも、年頃の男子は自立をさせられるのか、嫌気を差して勝手に出て行くのだろう……)


 この後。アスとの会話が続くかと思っていたが、この言葉でアスは部屋に戻ってしまう。

 俺的には、もう少しアスの事を知りたかったが……

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