第15話 新しい門出?

 ……


 俺は教会。養護施設の厨房担当に成れた。

 養護施設では、朝の7時と夕方の17時に朝食・夕食の名目で食事が出される。


 メルメーサ王国は基本。1日2食なのでこの配食で問題は無い。

 俺当初の目的は、パプテトロンに子ども食堂を開くつもりで有ったが、まずは養護施設の厨房担当で腕を磨いて、其処から次にステップに向えば良いと思う。


 そして、リンの家からパプテトロンにある教会までは、通勤(?)出来る距離では有るが、朝食の時間は朝7時と成っているため、俺は朝5時ぐらいには教会の厨房に入らないと調理・配膳が出来ないだろう?

 なので、教会側から俺の部屋を用意してくれる事と成った。


 養護施設には子ども部屋以外に、2室だけ大人向け(?)の部屋があるらしい。

 そして、養護施設は子どもたちが主体で運用するらしいので、神父とシスター以外の大人は常駐していない。


 だが、神父とシスターは、教会の住居部分で住んでいる。

 なので、基本。養護施設には大人がいない事と成る。


 以前の厨房担当はパプテトロン市街から通っていたので、通勤問題は無かったが、俺の場合は通退勤時に魔物と遭遇する恐れが有るので、神父達が住み込み(?)を提案してきた。

 俺は戦士の素質も無いだろうし、魔法使いの素質も多分無いだろう?


 住み込みで有るので、賃料は無料の上。食事も賄いの名目で、食事を食べていいそうだ!

 でも、俺が住み込んでしまうと、リンとの本来の約束を破る事と成る?


 そして、養護施設の厨房に、定休日なんて物は存在しない。

 今日の食堂は『休業日!』ですと、社員・学生食堂ならまだしも、福祉施設でそんな事をしたら暴動が起きる!?


 まぁ、シスターが居るから休暇は全く無いと思うが、俺が単身赴任してしまうと、俺はリンの役を演じきれなくなる?

 でも、その問題もあっさりと解決してしまう!


『お父さん!』

『私も住み込むから、安心してください!♪』


『私は、お父さんに付いて行きます!♪』


 俺はリンに今後の事情を話すと、リンは突然、笑顔でそんな事を言う!

 だが、リンは教会と雇用契約を結んでいないので、厨房手伝いは嬉しいが教会からリンの給料は出ない。


『お父さん!』

『教会のお仕事は本来、無償奉仕なんですよ!!』


『私は無給でも、全然問題は無いですし!』

『じゃないと、お父さん一人では大変ですよ!♪』


 と、リンは俺の聞く耳を持たない。

 俺は仕方ないので、マリコに相談をするが……


『スズヤさん!』

『それだけ、リンはあなたの事を気に入っているのですよ!!』


『私とリンは生活費には全く困っていませんから……』

『リンのこと。お願いします…!』


 と、マリコからも微笑みながら言われてしまう///

 俺は、この事情を全て、神父に話したら……


『スズヤ!』

『それでしたら、リンには養護施設の管理者に就いて貰いますか!!』


『スズヤは厨房担当。リンは施設担当に就いて貰えれば、私やシスターも教会本来の仕事が出来ます!』

『養護施設も本当は、常駐の大人が欲しかった!!』


『けど、給料の問題で、募集が出来なかった///』

『でも、仕事らしい事は余り無いので『雀の涙』程度しか出せませんが……』←リンの給料は3万キラン


 と、神父は和やかな表情で提案してきた。

 リンは無償奉仕でも良いと言っていたが、それならリンも教会と、雇用契約が結べる。


「うん、うん!」

「お給料が貰えるだけ、ありがたいです♪」


 俺はその事リンに話すと、リンは嬉し笑顔で二つ返事をした。

 無償奉仕から多少でも給料が貰えるから、リンにとっては良い話なんだろう?


 だが、これで良かったのだろうか……


 ☆


 マルコ532年10月29日……

 今日は日曜日である。


 日曜日は日曜礼拝の日で有るが、俺とリンの門出の日でもある。

 俺は、リンの家から教会に住み込みを始める日で有るし、リンも住み込みで有るが自立(?)をする日でも有る。


 俺とリン親子で、教会へ日曜礼拝に行った後。

 マリコは神父たちに挨拶をして帰るが、俺とリンはそのまま教会(養護施設)で住み込みを始める。


 なので、俺とリンは両手に荷物を持って、教会に向う。

 俺の手荷物は殆ど無いから、リンの大半荷物を俺が持つ……(汗)


 お互いの仕事開始日は、日曜日の翌日と成る月曜日からであるが、多分当日から仕事は待っているだろう?

 でも、リンは和やかな表情で俺に話し掛けてくる。


「お父さん!」

「お父さんと呼べるのは後少しだけど、向こうに行っても仲良くしましょうね♪」


「まぁ、お互い別の部署だけど、仲良くしていこう」

「リン……」


「うん。うん♪」

「お父さんのお手伝い、いっぱいして上げますから♪」


 俺は困った微笑み表情でリンに話す。

 俺の言葉の後。リンは笑顔で俺に話す。


 俺はリンからお父さんの役を貰っているが、それも間もなく終わる。

 リンが結婚では無く、俺と一緒に教会に住み込みを始めるから、リンが俺をお父さんと呼ぶとなる関係からだ。


「ふふっ」


 俺とリンを見ながら、マリコ微笑ましく笑う。

 仲の良い親子だと見ているのだろうか!?


 ちなみに、これはマリコから聞いた物であるが、リンに許嫁や彼氏は居ないらしい?

 だが、リンは結婚するまで『お父さん』の役を演じろと言った。


 だから、リンが自立をしても問題は無いのだが、リンはまさか、このまま一生独身で居るのだろうか!?


 ☆


 俺の選択した道は間違っていないと思うが、俺の今後の異世界人生はどう成るのだろうか?

 俺は養護施設の厨房担当から、子ども食堂開設の道に進むつもりであるが、果たして上手くいくだろうか……


 ……


 ☆異世界で子ども食堂を開きたい!☆


 ☆おわり☆


 次章『攻勢をかけ始める魔王軍』に続く……

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