第10話 (ヒロイン目線)
学園を目の前にして私は感激だった。
実際に通えるなんて夢みたい!
入学式はほとんどが退屈だったけど王太子シグルスはスチルで見たよりよっぽど素敵だわ!
キョロキョロと周りの人たちを見たら、他はやっぱりそんなパッとしない。
日本の学校よりは小綺麗な人が男女問わず多いけどモブはモブだった。
攻略対象を視線で探していると前の方に水色がかった銀の髪をした子がチラッと見えた。
遠くて人の間から目立つ髪色が見えるくらいだけど水色っぽい髪の毛はその子しか見当たらない。
濃いめの髪色をした人が多いので私やその子の髪はそこそこ目立つ。
きっとライバルポジとして出てくる悪役令嬢ディルアーナに違いない。
(ワザとぶつからなくても多分このあとぶつかるよね?そしたら初戦闘してシグルスと会話♡楽しみー!)
ディルアーナの隣の綺麗な青髪が氷の騎士セルディだろうな。仲違いしてるはずだけど双子だもんね。
入学式は並んで座ってても不思議じゃないわ。
シグルスの挨拶の後は入学式が早く終わってほしくてたまらなかった。
そして待ちに待った退出。
ホールを出て教室のある建物へと続く回廊みたいな場所を通っていると混雑してるわけでもないのに“ドンッ”と誰かと肩がぶつかった。
きたー!ディルアーナね!
そう思い「大丈夫ですか?」と声をかけつつそっちの方向を見る。
銀だか水色だか分かんない髪色のディルアーナ。
コテンパンにするつもりだったけどスチルのディルアーナは少し気の強そうな美少女なのでそれはそれで私は会えるのを楽しみにしていた。
なのに目の前にいるのはただのデブ。
戸惑い思わず声が漏れてしまう。
しかもイチャモン付けてくるどころかこっちを気遣ってきた。
コレじゃバトルにならないじゃない!
てかこんなにゲームと体型が違うなんて…。
「あの…ディルアーナ…よね?水色の髪、1人しかいなかったしぶつかったし」
あまりのことに確認してしまう。
戸惑いつつよく見ると、スチルに比べたらデブだけど面影はある。
なんか喋った気もするけど戸惑いすぎて聞きそびれた。
「えぇ…。伯爵家のディルアーナ・ディオ・ブレビリーですわ。あなたは?」
なんか自己紹介してきた!
えー!えー!混乱するー!
声もディルアーナだし本人も名乗ってるしディルアーナなんだろうけど違いすぎる!
はっ!もしや私と同じ感じ!?
「…あんた転生者?」
「はい?」
あれ?なんか間の抜けた返事が返ってきたしもの凄く戸惑ってる。
「えっと…私の事知ってる?」
とりま、私はゲーム通りの容姿だから向こうも転生者ならヒロインって分かるよね?
「先程申し上げた通り初対面だと思うのですが…なので間違っていたらごめんなさい。ローデン伯爵令嬢とお見受けします」
何か考えつつアセアセと答えるディルアーナ。
「なんだ、私が分かるってことはやっぱり転生者なんじゃない。そんな言い方しなくても大丈夫よ?バトルしましょ?」
私はさっさと進めたくてバトルを持ちかけた。
「あの…珍しい髪色ですし…ご本人に告げるのもどうかと思いますが噂になっておりましたので…」
「え?噂?」
「あの…ローデン伯爵に桃色の髪のご令嬢がいらして、その方が聖属性をお持ちだという噂です。聖・王立学園かサンクチュアリ学園に入学されるお年だと聞きましてもしかしたらと思ったのです」
あー…そういやゲームでも「噂の聖属性持ちってあなたの事?」ってディルアーナ言ってたな。
そっか、私、有名なのか。
「んじゃ転生者じゃないの?」
「転生者とは何でしょう?」
あれー?マジで違うのかな…。
バグ?何で?
「あのさ…転生者じゃないならなんでそんな太ってるの?」
私は最大の疑問を本人にぶつけた。
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