第一志望に二回落ちたけど、最強ガクチカ「除霊」で大逆転就活無双を目指してみる

街田あんぐる

第1話 大逆転ガクチカは化大(バケダイ)にあり!

 母がリビングの電気をパチンと点けるまで、ソファに沈み込んでうつむいていた。


「たくみ」


 母がやわらかい声で呼ぶから、のろのろと立ち上がる。


「不合格、でした……ごめんなさい」


 一年の浪人を許してくれた母に顔を向けられず、カーペットの端のほつれているところばかり見る。


「よく頑張った!!」


 母は明るい声で手を広げ、拓海の両肩にしっかり手を置いた。


「拓海は頑張ったよ。無駄にはならない」

「……うん。大化たいか大学にする」


 二浪はせず、滑り止めの一つに入学すると決めていた。


「そう。楽しんでらっしゃい」

「ありがとう」


 不合格のショックは大きいが、拓海はもう前を見据えていた。大化たいか大学——通称化大バケダイ——そこで手に入る最強の「ガクチカ」を思い描いて、拓海の目は燃え上がった。




 ガクチカ。

 就活におけるテンプレの質問、「学生時代に力を入れたことを教えてください」を省略したものだ。

 大学生活を漫然と過ごした学生は、面接に臨むにあたって焦ることになる。


 だがおれは一味違う、と拓海は自信に満ちた笑みを浮かべた。入学前からガクチカを意識して大学を選んだ。熱心に打ち込んで結果を出して、最強のガクチカで逆転就活無双する未来が目に浮かぶ。

 今に見てろよ。

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