対策会議
前回会議の緊急議題であった情報漏洩に関する意見が全員から集まったので開くことなった。
「とりあえず意見をまとめてみたところ、対策が必要なのは、仕入れ、管理、餌の作成、具合が悪くなって時の対応ということが全員一致した意見だった」
「その内の仕入れ先については今回の特殊な物については、我が商会や魔性植物園など決まっているので問題はないのでは?」
「そうではない。今まで仕入れていないところからという点を怪しまれているのではないかという意味だ」
「ただ元々の仕入れ先や量が変化している訳ではないから疑いで済んでいるのではないかと」
「他には仕入れを下男や見習いにやらせていたところは、従業員に変更したそうだ」
「餌の件は変異種の分の追加の配合や専用の餌だけは、専任者や決まった者だけにし、鍵付きの部屋や鍵付きの容器などで他の者の目に触れさせない様にした方がという意見があるが」
「まだ効果のある配合が未確定の内はそのくらい慎重で良いでしょう」
「私のところは世話する数も、従業員も多いので、餌の配合など重要な部分以外は、一通りの作業を一人でやらせず、細分化して自分の前後の作業以外は知らせない様にしました」
「それも良い方法ですね」
それぞれが工夫しているところを語り出した。
「とにかく確実なデータが取れるまでは出来る限り情報を知る者を減らすことと、知らせる時も全てではなく、重要ではない一部分のみにして、万が一漏れてもそれだけでは使えないという状況を生み出す努力をしましょう」
「重要な情報は契約をするか、それに相応しい程の忠誠心や信用のある者だけにして、その者達にも危険性や懸念事項を話し、気を引き締めて臨む様にするという事で宜しいか」
「他には出入りの業者や下働きの者達に知られないような対策として、私のところでは関係ない者が出入りする時間帯には、休憩室で業務の話しはしない様に通達しました」
「そうですね、業務エリアであっても外部の人間が出入りする近くでは重要な話しを避ける様に通達した方が良さそうですね」
「いっそのこと用語を違う言葉で置き換えて話すのはどうでしょう?例えば魔性果実の名前を、色や形から赤ならルビーとか椿、魔性果実の絞り汁ならジュースとか。如何でしょう?」
「なるほど、聞かれてしまうのを承知した上で、間違った情報を与えるということですか」
「不浄をお花を摘みにと言い換える様に何かを言い換えるのもありですな」
「それなら隠語は共通の物を使用して、1つだけ各家で言い換える情報を決めてはどうです?もし漏れた時にどの家からか分かる可能性がありますから」
下手に聞かれて誤用されたり、聞き間違えて問題になりそうな情報などを中心に隠語や言い換えを皆で考えた。
例えば
魔性果実の絞り汁はイチゴジュース
魔虫は蜻蛉玉
魔獣や魔物の肉はステーキ
など連想させる様な言葉にした。隠語は自分達が分かり辛くても意味ないから。
強制給餌は「あやす」になった。
これに関しては強制って言う言葉が良いイメージでない事と、その子を思っての行為であり、祈る様に抱きかかえる時の様子を言葉にしたもの。この言葉には中精霊の報告を聞いていた精霊王様方も、幻獣王様方も賛成した。
これらの言葉は書類にしてそれぞれの家で管理するが、図書館の様に閲覧のみか、書き写して覚えることは認めても、場所は限定し持ち出し禁止にすることにした。
その報告を聞いた風の精霊王が
「それならば持ち出ししようとしたら妖精に悪戯する様に妖精王に言っておこう。公認で悪戯出来るなら喜んで協力してくれるだろう」
と言ったので、後日うっかりズボンのポケットに入れた者がズボンを脱がされて大騒ぎになり、コナーが
その件に関しては他の内容でも採用しようという事になり、以後精霊王のいずれかが認めた禁書は同じ扱いになり、喜んで協力する妖精達をやり過ぎない様に監視する妖精王と妻の姿を、見える者達が時々目撃することになった。
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