育成会議② 前編

 メンバーは前回とほぼ同じ

 違うのは数人仕事の都合で欠席しているくらいか。

「商業ギルドに各担当者から報告が届いているが、一旦全体で現状把握と情報の共有をしておこうということで集まってもらった。

 まずはこの場に居ないレナードさんのところは、外で走り回れるほど体力がつき、毎日近くの森で魔素を吸収ついでに体力作りをしているそうで、順調だということだ」

「ギルド長、まとめ過ぎですって。

 狼犬の兄弟は食欲が旺盛で、1食を魔物の肉や魔性果実にしているが他の個体より多目に食べているせいか、寝込むことはほとんどないと。

 その代わりテンションが高いことが多く、暴走しがちなところが気になると言っていました。

 子馬は性格なのか少食気味で、寝込むことは最初に比べて期間が短くなったと。寂しがり屋なので多少辛そうでも森に付いて来るが、そういう時は魔素の多い場所で休ませると帰りは行きより軽快になっていることが多いと」

 ここで業者側が騒ついた。

 体調不良の時に魔素溜まりで過ごさせる情報は、植物園と商業ギルドだけしか言ってないとレナードさんが話していたな。

 理由は町で魔素があるのは植物園ウチと極一部の魔性植物を育ててる家だけだから。

 その植物は増え過ぎると危険なため、園が管理していて許可制になっているから今まで公表していない。

 私が手を上げ発言を求めた。

「魔素溜まりについては植物園や森以外では、ウチで管理している場所以外では基本的に手に入らないため情報を伏せさせてもらっていた。

 しかしレナードさんから代案を提示されたので、今回この場でのみ許可したのでここにいるメンバー以外に口外はしないようにお願いしたい」

「代案を教えてもらえるのなら約束しよう」

 業者側の代表に決まった商会の代表が代弁する。

 他の業者も頷いていた。

「代案は魔性果実の搾り汁を飲ませることです。体調が悪いほど飲む力がなくなるため、無理にでも飲ませて下さい。翌日には自力で飲めるくらいには回復するようです」

「それならば今直ぐにでも実行出来る。皆さん会議の後で強制的に飲ませるための道具を、我商会に行って相談しましょう」

 この計画が極秘扱いのため、手配は商業ギルドが参加してる商会を経由して仕入れることになっていた。

 ここで一旦休憩となった。

「引き続きレナードさんのところの件ですが、

 鷹は引き取られる前は普通種の兄弟より2回りほど小さかったのに、今は変異種の同じ時期に産まれた個体より大きく、成体になる頃には一緒に生まれた普通種と変わらないほどだとか。

 賢いため偵察には欠かせないとか。

 ただ未だ魔法の種類は特定出来ていないそうです」

 レナードさんのところの報告が終わると各業種は順番に成果を報告した。

 やはり一番成果を出しているのは、レナードさんから直接アドバイスを受けている伝書屋だった。

「ギルド長、1つ議題にあげて欲しいことがあります」

「ヘルマンさん、何をでしょう?」

「レナードさんのところは全員が順調で、そろそろ本格的な薬師の活動を再開するのではないかと拝察します。

 そうなると薬草や素材をご自分で採取される珍しいタイプの方なので、採取の旅に出ることになり、コッコ達や牛達や調子が悪い個体の面倒を一時的に観る者が必要ではないかと」

「冒険者ギルドでもそのことが話題に上がっている。

 近々こちらでレナード家の留守番に対して、対策会議を開こうと思っていたが、早めることにする」

「それはようございますが、有用な情報を教えていただき、更に検証にも協力しておられる方に、我々業者も何かお役に立てる事はないでしょうか?」

「冒険者ギルドの留守番役の方と、日程が合えば一緒に行って世話を手伝うのはいかがでしょう。

 ついでに変異種を連れて行き、冒険者の方に付いて行ってもらって、レナードさんが行く森で魔素を浴びることも可能では?」

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