(四)

 週が明けた。月曜朝の満員電車はいつもよりもさらに混んでいて、出勤するだけで彩香は疲れてしまっていた。もちろんその疲れの原因はそれだけではなく、週末の家庭と呼ばれる自宅での出来事のせいでもある。

 反町宗次郎部長の指示は相変わらず立て続けで、期限もタイトで質も要求された。営業活動ではなかったが、架電数も前の部署の十倍にもなった。

 反町部長は圧の強い指示を出し続けていたが、昼休みに入る前に珍しく圧のないことを言った。「何か心配事でもあるのか」と。


(続く)

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