(二)-12

 そういう密度の高い時間の使い方は、今まであまり経験したことがなく、恋愛しているときとは違う充実感を感じていた。かなり疲れるが、悪くないと彩香には思えた。

「心配事とかあるのか、それとも何かもっとこうして欲しいとか、そういうのはないのか」

 そう言われて、彩香は話した。ここ数日考えている、夫の家庭に対する態度についてだ。

「そんな旦那と一緒に暮らしていて、君に何の得があるんだ」

 反町部長の言葉に、損得の話なのだろうかと一瞬思った。しかし、その指摘は確かにそうかもしれないと思い直した。仕事を続けたいし、もっとバリバリ働きたい。逆に、疲れ切って夜遅くに帰宅したときに、家事を全て丸々押し付けられる感覚に隆利への苛立ちを覚えずにはいられなかった。


(続く)

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