(二)-3

 彩香が振り向くと、そこには背の高いナイスミドルな男性が立っていた。高級そうなスーツに左手をポケットに突っ込みながら、右手にはカップ式のベンダーで購入してきたコーヒーを手にしていた。

「お前が新人の桜木か」

 彩香は「はい!」と大きな声で返事をしてから「桜木彩香です」と名乗った。

「こっちだ」

 そう言って反町部長は、廊下に出て左手の方へ歩き始めた。彩香はそれについていった。

 案内された部屋に入ると、中は雑然としていた。デスクは一つだけだった。


(続く)

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