第9話:出でよ、ケーリュケイオン。


「おまえも喰らえ」


カオスは手っ取り早く決着をつけようとまたクチからビームを放った。


「そんなもの、私に効きません」


瞬時にバリアを張ったミンクはカオスの放ったビームを跳ね返した。


「恐れ入ったな、一気にカタをつけようと思ったがバリアを張れるとはな」


「ビームなんてそんな簡単なこと、私だってできます」


「10倍返しです!!」

「出でよ、ケーリュケイオン」


そう言うと、空間から光とともに一本の魔法のワンドがミンクの前に現れた。

ミンクはケーリュケイオンを手にして、パワーを注入すると


「デストロイ・エンジェル」


そう言って超特大の稲妻をカオスに向かって放った。


カオスのビームより10倍強い電撃!!。


「洒落臭い・・・そんなもの・・・」


10倍もの電撃を食らったカオスだったが、カオスもバリアを張って電撃を

跳ねかした。


「くっ・・・まともに食らっていたらヤバかったわ・・・」

「まさかベゴニアピコティ「神」しか使えないケーリュケイオンを操るとは・・・

ただの小娘じゃないな・・・あなどれんわ」

「おまえ、どこの出だ」


「第10星雲4771-1002、セーブル」


「あ〜なるほどな、セーブルならよく知ってる・・・行ったことはないが

その星の王女姉妹が喧嘩したさい月をひとつ破壊したって話は有名だからな」


「ミンク・・・おまえだったとはな・・・」


「そんなことどうでもいいでしょ」

「決着つけましょ?」


ミンクは間髪入れずカオスを攻撃した。


「エクスティンクション・エンジェル」


そう言うと再び ケーリュケイオンの先から、今度はさっきより何十倍も凄まじいビームが放たれた。


すかさずカオスは再度バリアを張ったが、ミンクのビームにカオスはバリアを

破壊されると、まともにビームを食らって地上に落ちていった。

ミンクはそのまま、カオスが落ちたあたりを、めがけて再びビームを放った。

カオスが落ちた一帯は ケーリュケイオンから放たれたビームで一気に薙ぎ

払われた。


カオスが落ちた周辺は瞬時に焼き尽くされ、眩しい光とともに街の一部は完全に

焦土と化した。


運良く、そのあたりに住んでた人たちは最初にザクロが偉そうにくっちゃべってる

間に警察や自衛隊の誘導によって避難が終わっていて 誰も犠牲にならずにすんだ。


「すげえ・・・なんかSF映画観てるみたいだ」


「あれが俺の彼女?・・・めっちゃ最強じゃん」

「ちょっと早まったかな・・・」

「ケンカなんかした日には、俺、即、消されるかも・・・」


幸いにもハジメがいたあたりは、なんの被害も被らなかった。


UFOの中でふんぞり返っていたストロベリーはその光景を見てビビった。

瀕死の重傷を負ったカオスはストロベリーに助けられて捨てゼリフを吐いた。


「私の負けだが・・・今後の楽しみができたわ・・・かならず地球に帰って

来るからな・・・」


ストロベリーは戦意を喪失して這々の態で、これまた捨てゼリフを吐いて

UFOに乗って退散して行った。


「覚えてろ・・・バカミンク・・・くっ」


「今度・・・地球に来たら・・・ボコボコにして裸に剥いて燃えないゴミの

日に出してあげますからね」


ミンクはストロベリーに上品に悪口雑言を言った。


「ミンク、覚えてろよ、今度地球に来たらベコベコにしてブラックホールに捨て

てやるからな」


ヘタレザクロも捨てゼリフを言ってUFOに乗ってすごすご引き上げて行った。


「二度と、この地球に来にでくだいね、おバカのみなさん」


子供の頃、楽しみに見ていたウルトラマン・・・かっこよくやってきて

怪獣を倒すシーンを見て子供心に歓喜に沸いたが、大人になってふと

ある日疑問がわいた。


あれだけ怪獣と激しいバトルをして、ビルや街が壊されても、誰も文句を

言わないし警察も自衛隊も出てこない。

騒ぎにもならない・・・これは?


いっぱい被害を被ってる人もいるのにウルトラマンは弁償もしないで、 勝ち誇って光の国へ帰っていく。

怪獣倒してやってんだから、その辺は「大目に見ろよ」って「三年目の浮気」の

歌詞みたい感じなんでしょうかね。


まあ、なんて夢のない・・・いつから僕はそんな現実主義者になったんだろう。

少年のままでよかったのに・・・。


まあ、SFとかヒーローものは非現実的でいいんだと思うね・・・。

そこに生活感があってはいけないのだ、やっぱ夢とロマンがないと・・・。


ってことでミンクが破壊した街の一部は、その後なにごともなく新たな商業地へ

と変わっていった。


つづく。


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