元彼の声で前世の記憶を取り戻しました

大町凛

プロローグ

前世の記憶なんて思い出さなければよかったのに・・・。


なぜ前世の記憶なんて思い出してしまったんだろう・・・。



  ※※※



私はカノン・ローゼット・ハウアー。


婚姻は家の為の政略結婚の道具の一つであり、私個人の感情なんて関係ないと思っていた。

そうすることがハウアー家長女である私の務めだから。

政略結婚に『愛』なんて感情は不要だ。


そう、不要だったのに・・・・。



 


・・・瑠伽。

前世の私の恋人。

初めてできた恋人。

愛する幸せと愛される幸せを教えてくれた男。




ああ・・・どうして『前世の記憶』なんて思い出してしまったのだろう。


『愛される悦び』を知らなければこんなに悲しい思いなんてしなかっただろうに。


『愛する悦び』を知らなければ苦しい思いだってすることはなかったはずなのに




どうしても 

どうしてもあなたを愛しいと思ってしまう・・・




 

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