第2話



 炎天下の日差し。


 乾燥した空気。


 手持ちには何もなかった。


 クプの実を小袋いっぱいに詰めて持ってきたけど、もうすぐ無くなってしまう。


 道なき道をひたすら歩いた。


 道中には魔物もいる。


 お腹を空かせたカーバンクルだって。



 ハァ…ハァ…



 歩いても歩いても、一向にたどり着く気配はなかった。


 馬車で半日はかかる距離。


 歩くってなると、最低でも1日はかかる。


 僕の住んでいる村、フォレストバンクは、星が綺麗な村で有名だった。


 雨季になるとバルハーメイ高原の動物たちが南の地方からやって来て、豊かな草原と湿地の上に、ウーやドリールカが埋め尽くす。



 東に広がるベルリウロス湿原に、ヴサーエ大山脈。


 西にはホムンクルス台地があり、その峠を越えれば、オーボゴ大峡谷の真っ赤な断層が、広い大地の下に姿を現す。



 ボトロチナの市場に、ラスーヒの大図書館。


 そして、ヘスの滝。



 村の人たちはみんな優しかった。


 よそ者の僕を快く迎え入れてくれて、いつだって家族のように接してくれた。


 同い年のポコは、僕の大親友だった。


 彼はアルテメリアに連れて行かれた。


 アルテメリアの工業区にある手工業製作所(エルガステリオン)に、奴隷として働くことになったからだ。


 半年前のことだった。



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フロムフロンティア -FROM FRONTIER- 【第1巻】 平木明日香 @4963251

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