41行目-50行目 心の亡者
君が笑ったような気がする 僕がそう思いたいだけだろうけど ミルクティー色の靄
肩を叩かれている 大丈夫かねと言われている 大丈夫ですなんてもう一生言えない
住所氏名年齢電話番号は訊かれても僕の短い人生に何があったのかは誰も興味ない
警官は狛犬の面をかぶっていない 冬の京都で何の準備もなしに野宿とは恐れ入る
「一晩外にいたの?」「いいえ、本屋で過ごしました」「どこの」「あのビルの」
――ジュンク堂京都店は2020年になくなったし、あの本屋に地下フロアはない
という事実を僕は自宅のパソコンでようやく知った 道理でこってり怒られたワケだ
受験ノイローゼによる無謀な逃亡 真面目過ぎるが故の病的で衝動的な行動
素人ラッパーみたいなライムの診断結果を聞いて僕は脱獄に失敗した でもこれは、
手元に残った青色のパスポートみたいな手帳に綴られた、君の字にそっくりな一行
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