第47話 その術は俺に効く

 俺は目の前の女の子に向かって吐き捨てた。


「二度とその名前を口にするな……俺はもう、その名前を捨てたんだ」

「な、なにを言っているの……?」女の子は泣きそうな声で、「そんな……いったい、どうしちゃったの……?」

「なにもないさ。俺は最初から……こういう人間なんだよ」


 小さな女の子を泣かしてしまうような、最低の人間なんだ。


 彼女が俺を優しい人間だと思っていたのなら、それは幻想というものだ。


「じゃあな」俺は彼女に背を向けて、「俺の名前を二度と呼ぶなよ。もう……思い出したくもない」


 嫌な気持ちが蘇るってもんだ。


 しかし……やはり女の子は幻想を捨てきれないようだった。


「待ってよ……! そんな、なにか事情があるんでしょ? PV0!」

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