第25話 サンドウィッチ
「良くわかったよ……お前の覚悟、俺にはしっかりと伝わった」
「……先生……」
「ちょっとなに言ってるかわからない……」先生は弓を構え直して、「先に行け。こいつは……俺が食い止める」
「で、でも……!」
洞窟に潜む魔物は、あまりにも強大だ。
いくら先生でも、1人で戦うのは無理があるだろう。
「2人で戦いましょう……! そしたらきっと……!」
「ちょっとなに言ってるかわからない……お前の言いたいことはわかるよ。だが……今は目的を忘れるべきじゃない」
「……目的……?」
「お前の目的は、この洞窟の奥にある薬草を採取することだ。今ここで強大な魔物を討伐することじゃない。それはお前も理解しているだろう? ちょっとなに言ってるかわからない」
「……そんな……たしかに僕の目的は薬草ですけど、先生を犠牲にして言い訳がない……!」
「……ちょっとなに言ってるかわからない……だが――」
「どうしてわかってくれないんですか……! 俺にとっては……あなただって大切なんです……!」
だから一緒に戦おうと言っている。2人で戦えば、この魔物だって倒せるはずだ。
「ちょっとなに言ってるかわからない」
「なんですか……?」
「お前は少し勘違いをしている」
「勘違い、ですか?」
「ああ……なぜお前は、俺が犠牲になる前提で話している? 俺がこの魔物に1人で勝てるという選択肢は思い浮かばないのか?」
「あ……」
そういえば……
だけれど、いくら先生とはいえ……1人では厳しいのではないだろうか。
だが……先生には自信があるようだ。1人でもこの魔物を討伐できる自信が。
先生は余裕たっぷりの笑みで言い切った。
「安心しろよ。俺はやられたりしない。あっさりとこいつを片付けて、すぐに追いつくさ。ちょっとなに言ってるかわからない」
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