第17話 ご褒美

「キミは本当に優しいね。そんなに優しくされると、勘違いしちゃうよ? ざぁこ♡」

「勘違いさせる言動はお互い様でしょう? いつもいつも僕に優しい言葉ばかりかけて……」


 先輩の罵倒なんて聞いたことがない。誰に対しても好意的で優しくて……憧れの先輩である。


「私は勘違いさせてるつもりはないよ、ざぁこ♡」

「……それが素ってことですか?」

「鈍感だねぇ……それがざぁこ♡の魅力でもあるけれど」

「……?」


 この人は何を言っているのだろう。

 

 先輩は罵倒はしない。だが煙に巻く言動は多い。気をつけなければ。


「ざぁこ♡」

「なんですか?」

「いつか気づいてね、ざぁこ♡」

「……? なにに、ですか?」

「なんだろうね? まぁまたいつか話すよ、ざぁこ♡」

「はぁ……」


 なんだろう……怒られるのだろうか。よくわからん。


 ともあれ先輩は、僕を連れて歩き始める。


「さぁ、今日はどこに遊びに行こうか。キミと一緒ならどこでもいいんだけどね、ざぁこ♡」

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