第15話 映画のタイトルみたい

 雪山のペンションで起きた殺人事件。


 僕はその事件を解決するために、自分の推理を披露する。


「――以上のことから、オーナーに犯行は不可能です。ここまでで、なにか質問はありますか?」


 手を上げて質問をしたのは、僕の恋人だった。


「ねぇ……アキラと100人のアサシン……なにを言ってるの?」

「さっき言ったとおりさ。オーナーに犯行は不可能」

「……アキラと100人のアサシン……だってオーナーはじゃない。そのオーナーが犯人じゃないとしたら、この中に犯人がいないことになるわ」


 そうだ。それこそが僕の推理。


 僕は言う。


「そうさ。この中に殺人を行える人間はいないんだ。キミや僕……このアキラと100人のアサシンを含めてもね」


 僕の言葉に噛み付いたのは、関西弁の男だった。


「そらおもろいな、アキラと100人のアサシン。この中に犯人がいないんなら……ペンションの中にアサシンでも隠れとるってことか?」

「そんなことがあるわけないでしょう?」この中にアサシンなどいるわけがない。「容疑者はまだ残っているんですよ。その人物は、とある方法で容疑者候補から外れたんです」


 その方法が僕には予想外だった。これがゲームだったならすぐに思いついたかもしれないが、現実に目の前で死体を見て、頭が真っ白になってしまったのだ。


「アキラと100人のアサシン……」恋人が心配そうに、「それで……犯人は誰なの? 犯人は僕だ、とか……さっきみたいな冗談はやめてよ……?」

「ああ……犯人は――」

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