第4話 間違っていたらゴメンなさい、くらいの気持ちで使っています
「おお……間違いない。長年の研究の成果が実を結んだんだ! 知らんけど!」
先輩の言葉に、研究員知らんけどは涙を流して喜んだ。
「ついに……ついにやったんですね、僕たち」
「ああ。この新しいワクチンがあれば、多くの苦しむ人々を救うことができるだろう」先輩は知らんけどの肩を叩いて、「きっとお前の名前がつくぜ。知らんけどワクチンだ! 知らんけど!」
「知らんけどワクチン……」なんて甘美な響きだろう、と知らんけどはその言葉を繰り返した。「長かった……」
「お前の妹さんの無念も晴らせるってわけだ。知らんけど」
妹の無念が……少しは晴らせただろうか。もっと早くこのワクチンが完成していれば、あいつは死ぬことはなかっただろうに。そう思ってしまう知らんけど。
「とにかく、さっさとこいつを発表しちまおう知らんけど! きっと大騒ぎになるぜ、知らんけど!」
「あんまり名前を連呼しないでくださいよ……」
ちょっと恥ずかしいと思ってしまう知らんけどだった。
「いいや、何度でも言うぜ。この世界を救った英雄の名前だ、知らんけど! 知らんけど! 知らんけど!」
「……」
たしかにいい名前だ、と知らんけどは思う。
「名付けてくれた両親に感謝します。僕はこの名前を……誇りに思いますよ。知らんけど」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。