パワースポットでの決意表明 〜御岩山・高鈴山・神峰山〜
早里 懐
第1話
私は意志の固さと股関節の硬さには自信がある。その証拠に上手くあぐらをかけない…。
一昨日私は麓から那須連山の壮大な景色を眺め、今年中にもう一座登ることを決意した。
一方で、「わざわざこんな寒い中、山に登る必要はないんだよ。こたつでみかんでも頬張ってだらだらテレビでも見てろよ」という悪魔の囁きに負けそうにもなった。
しかしながら、私は今日そんな甘い誘惑などには負けず、自らの意思を貫き、日本屈指のパワースポットといわれる御岩山に妻とともに登った。
山登り一年目の締め括りと山登り二年目に向けてのパワーをいただくこと。
また、年末ジャンボの抽選を控えている身としてはまさに相応しい山であると言える。
登山道は御岩神社からスタートするが一歩足を踏み入れるとその厳かな雰囲気に圧倒される。
至る所に灯籠があり楼門や社、如来像が鎮座している。
まさに神聖な場所である。
私たちは安全に登山できることと年末ジャンボが当たることを祈願して登山を開始した。
選択したルートは表参道だ。
傾斜が緩やかなこともあり、妻も上機嫌でお話が止まらない。
暫くするとかびれ神宮に到着した。
ここからは裏参道と合流して御岩山の頂上を目指す。
ちなみにここから先は傾斜が少しきつくなる。
その結果、妻の声は封印され激しい呼吸音のみが響き渡るといういつもの現象が発生する。
そんな妻を励ましながら登り続けると日立アルプスの縦走路に合流した。
ここまでくれば御岩山の山頂はもう少しだ。
山頂には御神体の一部であるといわれる石柱が祀ってある。
また、西側の眺望も開けており、雪化粧を施した、男体山、日光白根山、燧ケ岳などが見渡せる。
止まっていると身体が冷えるため、私たちはすぐに高鈴山に向かった。
ここからは特にきつい登りはなく、稜線を歩くことになる。
少し風は強かったが、周りの木々がその風を遮ってくれたおかげで快適な稜線歩きができた。
高鈴山の山頂も西側の眺望が開けている。
また、山登りには嬉しい管理された汲み取り式トイレが設置されている。
暫く休憩し、来た道を引き返し、次は神峰山を目指した。
神峰山の山頂に向かうためには一旦少し標高を下げ、登り返しを頑張る必要があるが山頂からは太平洋を見渡す絶景が待っている。
このコースを選択した場合は是非足を伸ばすことをお勧めする。
私たちは神峰山の山頂で昼食を済ませ御岩神社まで無事に下山した。
今日は山登り一年目である2022年の登り納めであった。
私の登山一年目は特に明確な目標はなかったが、ただ絶景を見たくて色々な山に登った。
一方、妻はカロリーを消費するという明確な目標を持って山を登った。
この目標を持つか持たないかの差はとても大きいのだ。
目標を持っている妻はたとえ声が封印されようが、腹を壊そうが、木に頭をぶつけようが、派手に転倒しようが、鬼が憑依したような表情で山を登り切る。
このストイックさには毎回畏敬の念すら抱く。
「妻を見習え。お前も目標を持つんだ。」
私の頭の中の天使がそう囁く。
目標があれば白髪がちらほらと自己主張をしだした年頃でも、いつまでも成長を意識できる。
私は今年から本格的に登山を始めた。
今のところどっぷりとはまっている。
生涯の趣味を得たと言っても過言ではない。
そんな中、本日妻との登り納めも無事に終えた。
2023年も色々な山に登って、色々な絶景と出会いたいと思っている。
よって、その思いを実現するために、しっかりと目標を持つことを決意した。
尚、目標と言うのはしっかりと声に出して公言することが重要だ。
「2023年は、上手くあぐらをかけるように、ストレッチを頑張る!!…」
パワースポットでの決意表明 〜御岩山・高鈴山・神峰山〜 早里 懐 @hayasato
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
綿毛の行方 〜日向山〜/早里 懐
★3 エッセイ・ノンフィクション 完結済 1話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます