第113話



「アレクスちゃん、ルナちゃん、サンドイッチを作ったから持って行きなさい。これなら邪魔にならないでしょ」


「ありがとうございます。お昼ご飯に食べますね」


「ありがとうございます、おばさま」


 サンドイッチを受け取り、つぶれない様に優しく荷物と一緒にしまう。


 それからおばさんが優しく抱きしめてくれた。



「元気でね。しっかりね。体には気を付けてね。無茶はしないようにね」


「はい、おばさん。本当にありがとう」


「おばさま。またきっと、絶対戻ってきます」


 ゆっくりと離れたおばさんの目から涙がこぼれていた。

 


「アレクス君、ルナちゃん、またおいで。いつでもいいから、また顔を見せに来なさい」


 エミールおじさんは、俺たちの頭を撫でてくれた。



「はい、その時はいっぱい土産話を持って来ます」


「私も、色んな面白い話しをしたいです」


 名残惜しそうに手を離したエミールおじさんは、目に涙を貯めながらも笑顔だった。



「バイバイ、アレクスお兄ちゃん、ルナお姉ちゃん」「元気でね~」「また遊ぼうね~」


 最後に子供たちを強く抱きしめ、笑顔で離れた。



「うん、またね。……それじゃ、行ってきます」


「色々お世話になりました。行ってきます」


 おばさんたちの顔をよく見て、別れの挨拶をする。


 冒険の練習の時から長い間お世話になった。


 本当にもう一つの”家族”だった。


 手を振りながら村を後にする。


 何度も振り返ったが、いつまでも手を振っていてくれた。

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