第111話


 ルナはおばさんとおじさんの「大丈夫だよ」の言葉でようやく納得したようだった。


 今度こそ村の出入口、キエルの町の方に向かう。


 その途中で、昨日アメをくれたおばあちゃんに会った。



「あれま、アレクスちゃん、ルナちゃん。もう帰るのかい? それじゃ、また今度だね」


「えっとね、おばあちゃん。私たちね、これから冒険の旅に出るんです。だから、もう……」


「そうかいそうかい、確かにそんな事言ってたねぇ」


「ごめんね、おばあちゃん」


「ん? なんで謝るんだい? 若い人が頑張ってるんだよ、嬉しい事じゃないかい。ほれアメちゃん食べな」


 いつも通りアメをくれるおばあちゃん。


 会う度に適当に理由をつけて、いつもアメをくれていたな。


 

「ありがとうございます。いただきます」


 渡されたアメを二人で舐める。


 うん! いつもと同じで美味しい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る