第46話

 肩で息をするアレクスの隣でルナが静かに口を開いた。



「……私も同じ気持ちです。冒険のきっかけは先生たちの話です。これは本当です。でも冒険に行こうとして行動したのは私たちの意志です」


 無言のままアレクスとルナの話を聞いている先生たち。



「協会に入るってのじゃダメなのか? 協会だったら比較的安全に各地を周れるし、色んな支援なんかも受ける事が出来るし」


「でも自分の好きなように色んな所に行けないですよね? それにルナと離れてしまうんじゃないですか? 」


「そうだな、協会について軽く説明しておくか。もし協会に入るなら色んな知識を勉強をしてもらう必要がある。これには三年はかかるな。それから本部で働くか、俺らみたいに巡回教師になるかを選ぶ。本部で働くとあんまり外には行かねえな。巡回教師になると、どこを周るか決める。希望が無いなら勝手に決められるし、希望があっても通るとは限らない。四人一組で周るが、これも誰と一緒になるかは本部が決める。俺たちだって最初は知らない者同士だったしな」


「俺はルナと一緒じゃなきゃ嫌だ。約束したんだ一緒に冒険するって」


「……そうか。それは協会じゃ無理かもな」


「ごめんなさい」


「謝らなくていい。俺が勝手に提案しただけだ」


 そのまま先生たちは考える様に黙ってしまった。次に口を開いたのはリリアン先生だった。



「アレクス君とルナさんの考えはわかりました。呼んでおいて申し訳ないですが、一旦自分たちの教室で待っていてもらっていいですか? ちょっと私たちだけで話し合いをしたいとおもいますので」


「ええ、わかりました。行こうかルナ」


「うん」


 先生たちを残して教室に戻るアレクスとルナ。二人は無言のままいつもの席に座る。



「俺たち冒険に行けないのかな? 」



 アレクスは不安そうにつぶやく。



「きっと大丈夫だよ。わかってもらえるよ」


 ルナも俯いたまま答える


 無言の時間が続く。


 コンコン


 ドアをノックする音が聞こえ、リリアン先生が入って来た。

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