第15話
アレクスは準備の続きをしようと手を離そうとしたがルナは離してくれない。……っていうか段々と握る力が強くなってきている。
笑顔のまま手を離そうとしないルナにアレクスは声をかける。
「……あのルナ? 痛いんだけど。もう離してくれない? 」
話ている間にも握る力が強くなっていく。ルナの表情は笑顔のままだ。
「ねぇ、アレクス。なんで私に声をかけないまま準備を始めてるの? おかしいよね? 」
笑顔のまま段々と力が強くなっていく。少し痛くなってきた。
「ごめんって! 誘いに行くとこだったんだって! 」
「本当は? 」
「……興奮してて忘れてた。いててて! だってやっと冒険に行けるんだよ! 」
「はぁ……やっぱりね」
ルナはやっと手を離してくれた。真っ赤になった手をプラプラさせながら準備を再開させたアレクスに、ニヤニヤしながらルナが声をかけた。
「やっぱりお姉ちゃんが一緒じゃないとダメだね。忘れん坊さん」
「まだそれ言ってるよ]
「だっていつまでたっても私より大きくならないんだもん」
「じゃあ俺の方がおっきくなったら、俺がお兄ちゃんだぞ」
「いいよ、アレクスお兄ちゃん」
「ちぇ、今に見てろよ。……なぁ、おじさんとおばさんには言ったのか? 兄弟たちだってルナが急に居なくなったら寂しくなるんじゃないか? 」
アレクスは昔から事あるごとに冒険に行きたいとお願いをしてきた。そのかいがあってやっと許可がでたし、弟たちもわかってくれた。
しかしルナはいきなり冒険に出る事になるから、おじさんとおばさんには寝耳に水だろう。お姉ちゃんがいきなりいなくなったら、兄弟たちだって混乱してしまう。
「ああ、それなら大丈夫だよ。ちゃんと前から話をしていて、ちゃんと許可を貰っているよ」
「そうか、それならいいけど後で俺も挨拶に行くよ」
大事な家族を連れ出すんだ筋はキチンと通しておこう。
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