第11話 パートナー




 数か月後、竜はしっかりと元気を取り戻していた。

 そして、手当をしてくれた人達が大勢いる獣使いの里を気に入ったらしい。


 里の付近を飛び回る事が多くなった。


 元気になってなによりだ。


 今は、里の子供達を背中に乗せて、遊び相手になってくれたりするし、他の獣の面倒を見てくれたりしている。


 自発的に見回りをして、迷子の獣を保護してくれたこともあった。




 そんなこんなを経て、今。


 私はパートナーをやっと見つける事が出来た。


 色々悩んだが、まさかこうなるとは思ってもみなかったが。


 私が選んだのは竜だ。


 ふさふさでも、もふもふでもない。


 かたい皮膚と、翼のある竜。


 その命は、

 例の竜が産んだ小さな竜だった。


 見た目では分からなかったが、どうやら母親でメスだったらしい。


 身重の母親だったのに、怪我をした状態で私達を助けてくれたなんて、頭が上がらない。


 そんな母竜が託してくれたのだから、精一杯面倒をみなければならないだろう。


「くきゅるるる」


 卵から温める時から一緒にいたので、


 殻をわって、生まれてきた時の喜びははかりしれない。


 つぶらな瞳でみつめる赤子の竜は、パートナーというよりも世話が焼ける子供に近いかもしれない。

 

 まだ子供ができるような年ではないけれど、庇護欲が湧いてくる。


 とりあえずお昼の時間になったのでご飯を食べさせなければ。


「きゅるる」

「お腹空いたのね。ちょっと待ってて」


 赤ちゃん竜のために、調合した栄養たっぷりのミルクをスプーンにいれて、口元へと運んでいく。


 そんな赤ちゃんを見に来たのか、里の者達がそれぞれのパートナーをつれて、やってきていた。


 ライオンに、犬に、馬に、ユニコーンに、羊に、お猿さんに、とにかくいろいろ。


 私は今日も赤ちゃん竜の世話をしながらもふもふ世界の魅力を堪能していた。


 乙女ゲームの世界に転生したら、ケモノやもふもふや可愛いパートナーにまで恵まれた私は幸せ者だった。


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