第8話
ルナミリアさんとの同居が始まって10日。
魔力的なコストパフォーマンスを考慮して出した夕食で彼女の腹を満たすと、俺は照明を用意して外出しようとする。
「少し外に出てますね」
「ん?用足しか?」
声を掛けた俺に、ルナミリアさんはトイレかと確認してきた。
ちなみに、トイレも風呂と同様に岩山の下へ流しているのだが、彼女も利用するのでトイレ用テントを大きくし、水のタンクなどの給水設備を追加してある。
「いえ、ちょっと体を洗いに」
「水浴びか?人には寒い時期だろうし、いつものように湯を湿らせた布で拭けばいいだろう?」
「えっと、それは……前世ではお湯に浸かって体を洗ってましたので」
「ああ、初日にそんなことを言っていたな。貴族でもないのに浴槽があったとか」
「ええ。ほぼ毎日浸かってましたね」
ルナミリアさんによると、この世界全体なのかはわからないのだが……お湯を張った浴槽を使う"湯浴み"は、王族や上位の貴族にしかできないことらしい。
「贅沢な話だ。で、今日は湯に浸かる日なわけか」
「いえ、ここに来てからはほぼ毎日お湯に浸かっていたんですが……」
「ふむ、私のせいか。だが、これはお前が餌場を荒らしたせいだからな」
自分の食事に魔力を使わせていることで、俺が入浴を控えて魔力の節約をしていると察したようだが……彼女は気に病んだりしなかった。
まぁ、あちらからするとただの賠償だろうからな。
「わかってますよ。じゃ、戻るのは少し遅くなりますんで」
「ああ」
チャプ……
「ふぅ」
10日ぶりの泡風呂に浸かり、一通り体を洗って一息つくと……ルナミリアさんの食費について考える。
彼女が言った通り、人の姿での食事量はそこまで多くなく、貯め込んでいた魔力とコスパ最優先のメニュー選びもあってそれなりの期間は凌げそうだ。
冬が明ければ他の餌場に行くと言っていたが、万が一、想定以上に長居をされる可能性を考えると……もっと節約したほうがいいかな?
風呂を我慢して、お湯を含ませた布で体を拭くようにはしているが……お湯と水は物としては同じ物だという扱いなのか、魔力的なコストにそこまで大きな差はないので、その際に使うお湯を水に変更しても節約にはならない。
うーん、他に何かコストを削れる物は……
そんな風に今後のことを考えていると、風呂用テントの入口で物音がする。
パタッ、パタッ、パタッ……
これはサンダルの足音だな。
まぁ、魔石の反応からしてルナミリアさんだろう。
だが何の用だろうか。
周囲に彼女以外の魔石反応はないので魔物の襲撃などではないだろうし、トイレの水も先程ついでに補充しておいた。
他に何があるだろうか……と考えていると、玄関兼脱衣所との仕切りであるカーテンの向こうから衣擦れの音が聞こえてくる。
シュルッ……パサッ
え、もしかして服を脱いでる?
ここで同居することが決まってから、俺自身の身の安全のため彼女には毎日服を用意しており、今日も女性向けファッション誌を参考にした服で俺が手伝わなくても着用できる物を着ていたはず。
ルナミリアさんはさほど寒さを感じないそうで薄着でいいとは言っていたが、最初に選ばれた"DTを殺す服"では逆に俺の目が向きやすくなりそうだったので……秋らしい、やや厚着な格好をさせておいた。
完全に俺の都合だけど……命が掛かっているからな。
なら命懸けで視線を制御しろと思われそうだが、これは異常などに対して警戒や確認をしたり、魅力的なものを獲物として狙う本能のようなものだから仕方ない。
実際にそうなのかは知らないが。
シャッ
「うわっ」
「……」
服を脱ぎ終えたらしい彼女は躊躇なくカーテンを開け、当然ながら全裸の身体を全く隠さず、無言で俺の前に現れた。
そんな彼女に用件を聞く。
「えっと、何か急用とかではないんですか?」
「だったら裸にはならず、外から声を掛ける」
「ですよねぇ。じゃあ……」
「ああ。私も湯浴みをしようと思ってな」
やっぱりか、もう少しゆっくり浸かっていたかったが仕方ない。
「そうですか。すぐ出でお湯を入れ替えたりしますので、泡を流すのを待っていただけると……」
着替えなどで目にしているとは言え
なので彼女が入浴できるように準備をすると言って、一旦カーテンを閉じてもらおうと思ったのだが……
「そのままでいい。十分な広さもあるし、一緒に入っても狭くはないだろう」
と言ってその場でサンダルを脱ぎ、浴槽の傍に敷いた簀の子の上を歩いてこちらへ歩を進める。
ぷるんぷるんと胸を揺らして向かってきたルナミリアさんは浴槽の前で立ち止まり、泡風呂の入り方を尋ねてきた。
「で、このまま入るわけにはいかないよな?」
「あ、よっぽど汚れていない限りはそのままでも構いませんよ。この泡は汚れを落ちやすくするものですし、お湯で温まってからのほうが汚れは落ちやすくなりますし。入浴を終える時、最後に体全体を軽く流せば良いので」
「ああ、そうなのか」
「というか、本当に入る気ですか」
「何か問題が?」
「いや、そちらが良ければ構いませんが……」
「では」
ざぶっ……
俺が答えると彼女は浴槽に入り、さも当然のように隣に座ってくる。
まぁ、浴槽は2m四方の広さなので仕方ないのかもしれないが、もう少しぐらいは距離を取ることができたはずなのに。
横目で湯面を見てみると……泡などの入浴剤で濁っていてお湯の中は見えないが、浮いた泡の中で柔らかそうな物も浮いていた。
別に初めて見る光景ではないが……彼女が美女であることもあって中々の刺激であり、
「……」
「ア、スイマセン」
ルナミリアさんからジーッと見られていることに気づき、怒らせたかと思って謝ったのだが……彼女は一息つくと予想外のことを言ってきた。
「ふぅ……コージ、私を洗え」
「は?俺がですか?」
「他に誰が居る」
「そりゃ居ませんけど……洗うとなると、身体中を触ることになりますよ?」
「構わん。お前は餌場を荒らした罰として私の世話をしなければならないのだから、身体を洗わせるのもおかしな事ではないはずだ」
「それは食事の提供で償っているはずですが……」
「本来ならドラゴンの腹を満たさなくてはならないところを、あの程度の量で済ませられているわけだから……別の形で奉仕してもおかしくはないだろう?」
「んー……そうですかねぇ?」
「立場のある者は使用人に洗わせたりするようだし、慣れれば気にすることもなくなる」
「は、はぁ……それで来たんですか?」
「ああ、人の姿だと汚れや臭いが多少気になるからな」
逆に、元の姿ではそこまで気にならないらしい。
「そうですか……じゃあ、元々俺に洗わせるつもりでここに?」
「ああ。お前なら立場上断れはしないだろうし、そもそも……」
「そもそも?」
「断る気にならなそうだったからな」
ルナミリアさんはニヤリとしてそう言うと、両手で持ち上げたのか泡を載せた胸が浮上し、その泡で先端は隠れているが8割ほどがその姿を見せる。
当然、俺がその指示を拒否するはずがなく……
「尽力させていただきます」
と言って彼女の全身を洗うこととなった。
「きつくないですか?」
「いや、問題ない」
顔や髪は軽くでいいと言われて洗った後、とりあえず髪にはコンディショナーだけ使ってから髪用のクリップで留めておく。
この人の髪は背中の中程まであって、ちょっと長めなんだよな。
なので、こうして留めておく必要がある。
さて、次は身体だが……とりあえず無難な所から始めるか。
腕や背中を洗体用のタオルで洗い終え、次に洗う場所を考える。
一番無難なのは足か?
でもそうなると付け根までいくことになって、危ない部分に接触してしまうよな。
全身を洗えと指示されている以上、最終的には
首にしておくかとも考えたのだが、知り合って10日の相手に首を任せるだろうか?
武器を持ち歩いても法的には問題ない世界なんだし、普通は付き合いの浅い相手に任せることはできないはず。
でも相手はドラゴンだから、人の常識で判断すべきではないのか?
そんな風に考え、手を止めていると……急かされた。
「どうした?」
「いえ、残りは場所が場所ですし、ご自分で洗われたほうがいいんじゃないかな?と……」
「とっととやれ」
「ハイ」
言われて首や腹、お尻などを洗い、いよいよ本格的に危ない部分へ取り掛かる。
むにゅり
横からタオル越しに触れているのだが、その絶妙な弾力と柔らかさに暫し手が止まってしまう。
「……」
「あっ」
ジーっと見てくる彼女の視線に気づき、すぐに手の動きを再開させる。
ちゃぷっ、ちゃぷっ……
「んっ……」
手を動かしたはいいがそれによって悩ましい声が溢れだし、それと共に洗っている場所の先端が硬度を増してきた。
どうやら、人の姿のときは敏感な場所も人と同じであるようだ。
まぁ、じっくり弄るわけにもいかないので、洗う手をもう片方へ移動させて同じように洗う。
「んっ、ふっ……」
悩ましい声は続き、こちらとしては我慢しなければならないので中々辛い。
残るは股間だけなのだが……まぁ、変な気を起こす前にさっさと終わらせるか。
なんとなくで弄って、首をねじ切られでもしたら洒落にならない。
彼女の力を確かめた際に、人の姿で100kgのバーベルを小指で軽く持ち上げるところを見てるしな。
というわけで、ルナミリアさんの胸を洗っていた手を股間の不毛地帯へ移動させると、力加減に注意しながら洗っていく。
「あっ♡」
腰を浮かせたりして
意図的に弄ろうとしているわけではなく、至極真面目に洗っていたつもりなのだが……彼女はどうも愉しんでいるように見える。
何故か両腕を後ろに回しているのが気になるが、それによって突き出される形になった胸はその存在を強調され、俺は彼女の股間を洗いながらも空いていた手を……つい伸ばしてしまった。
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