異世界の敵

三二一色

【エンドオール】あなたのためだけのRPGを実況プレイ!

1-1 1回目の配信

はい、こんにちわー!

今回は皆さん注目の新作VRゲーム!

「エンドオール」αテスト版の実況プレイになります!


界隈を騒がせているこのゲームですが、知らない人のために説明します!

「エンドオール」は最近発表された新作VRオープンワールド・ロールプレイングゲームです。

VRを使って一人称視点で遊ぶタイプのものですね。

ここまでは、よくあるタイプのゲームです。



最大の特徴は何と言っても、ゲームを開始する度に新しくゲームを構築する、最新のAIを搭載しているところです!



今までのゲームだと、例えば「最初の村でドラゴンに襲われて、命からがら逃げだしてその事実を王城に伝えに行く」だとか。

あるいは「お前は勇者だと言われてお城に行って王様から魔王討伐の命を受ける」だとか。

色々な遊び方があると言われていても、メインのストーリーとかイベントとかはちゃんと決まっているし、どういうNPCがいて、こういうクエストがあって、とかも当然決まっているじゃないですか?



このゲーム、そういったストーリーとかイベントとかNPCとかが全部ランダム生成なんです。



魔王を倒しに行け、っていう王道のストーリーになることもあれば。

進みすぎた超文明によって滅ぼされた世界で、森や大地を修復して復興していく、みたいな展開になったり。

銃とロボットが出てきて宇宙を駆け巡るSFになったり、学園で起きた殺人事件の捜査をするサスペンスものになったり。

ゲームを新しく始めるたびにストーリーが生成されるんです。

もう、このゲームだけあればずっと遊べるって言っても過言じゃあないでしょう。

「あなたのためだけの世界で遊ぼう」っていうキャッチコピー、まさにそのままですね。

ちなみにゲームの中で主人公が死ぬとセーブデータが全部吹っ飛ぶっていう、昨今のゲームにあるまじきストロングスタイルです。

強制ハードコアモードとか今どき流行らないぞ!(5敗)


そんなわけで、αテストのプレイヤー募集が始まった際には抽選倍率が宝くじ当選率よりヤバいと評判だったこの「エンドオール」ですが。


この度見事に当選しました!


なので、さっそく実況プレイを始めていきたいと思います!

あ、実況や配信については開発元に許可を得て行っていますので、よろしくお願いします。



では早速ゲームをスタート!



…………はい!参上スポーン

こんにちは僕の世界!


では早速周囲を見渡して……ふむふむ、平原や森が広がってますね。

……あ、離れた場所に村みたいなものが見えます。

現代じゃあなくて、中世ヨーロッパ風ですね。

SFとか終末系ポストアポカリプスではなさそうです。

体感ですけど、こういう中世ヨーロッパ風、剣や魔術が幅を利かせるファンタジー世界が生成されるパターンのほうが多いですね。

王道ですし、一番遊びやすいからでしょうか?


あ、ちなみに主人公ですが、名前は決められますが外見はいじれません。

キャラメイクができなくて、ランダム生成のみになってます。

この辺りはちょっと不便ですね、テスト版だからかな?

今回の主人公キャラクターは性別は男性、所持品は灰色の法衣ローブ短剣ナイフ、食料とか霊薬ポーションがいくつか。

顔はつるりとした醤油顔。灰色の髪。普通だな!

そして、所持している技能スキル開示オープン


えーと……。

短剣ナイフ】に【採取ギャザラー】【錬金術サイエンティスト】に……。

お!【屍霊術ネクロマンシー】!

魔術関連の技能がありますね!


勘のいい皆さんはお気づきかと思いますが、この主人公が初期に所持している技能スキルもランダムです。

技能は膨大な数が用意されていますが、主人公が初期習得できるものは限られています。

テストプレイで何回か遊んで確認したところ、こういう中世ファンタジーだと【剣】とかは比較的入手しやすいんですが、中にはレアな技能もあって、魔術関連は結構珍しいです。

技能はゲーム内のキャラクターの行動で色々とアンロックされていくんですが、魔術関連の技能を取得しようとすると金やコネを使って魔術学園に行ったり、あるいは魔術師を師匠にして修行したりする必要があって、かなり面倒です。

その師匠とか受ける魔術の学科によっては、火の魔術を使ってみたいのに水の魔術しか教えてもらえない、なんてこともあります。

技能がないと魔術が使えないので、最初から持っているのはかなりレアですね。やった!

折角なので魔術師ビルドにしていきましょう!


では【屍霊術】をさっそく強化します。

スキルポイントを振って……よし、使用可能になりました!

……ん?警告文?


『屍霊術を習得すると、NPCの感情が悪化します』


…………。

ま、まあ、なんとかなる、大丈夫だから(震え声

せっかく魔術関連の技能を初期所持しているのにリセットとかしたくないし。

それに実況プレイですしね。

進行不能バグだとかが起きない限りはこのキャラクターで遊んでいきます。

どうせ死んだら強制リセットですからね(5敗)

あとは敵に接近されたときのために【短剣】から防御系スキルを取っておきましょう。

不意打ちを咄嗟に防ぐ自動防御と、受け流し系のスキルですね。

防御スキルはマジで重要です、あるとないとで生存率が変わります。

【採取】や【錬金術】があるとその辺の草花から薬を生成クラフトしたりできますが、ここは後回しでオッケーです。

最初は護身できないと、狼や熊に襲われたときに世界からサヨナラする羽目になります(2敗)。



さて、このゲーム特段のメインストーリーみたいなものはありません。

強いて言えば、自分がメインだと思ったクエストがメインストーリーである、って感じでしょうかね?

魔王とかドラゴンを倒せとか言われても、あくまで大型イベントの1つといった感じです。

単なるお使いクエストだと思ったら、それが発端となって色々と事件に巻き込まれたりすることもありますので、クエストは積極的に受けていきたい所存。

【屍霊術】も使いたいですが、【採取】【錬金術】を駆使して薬を売りさばくプレイとかも面白そうですね、お金稼ぎ特化とか。

とりあえず何をしていこうか、というのは一旦保留しておいて、さっき見つけた村に行ってみましょう。


…………。

よし村に到着しました。

穏やかな農村と言った感じですね、畑があるし家も密集しない程度に建っています。

けっこう規模が大きいですね。

家3軒くらいで「村だ!」って言い張る、ゲームあるあるな感じではないです。


さっそく第一村人発見です、声をかけてみましょう。

お爺さん……といっても、ヨボヨボとした様子じゃあないですね。

初老とかそういう感じ?見た目の歳の割には結構身体がっしりして、スポーツか何かやってらっしゃる?

腰には剣を下げていて……え、なんで剣ぬいたの?


うお?!


いきなり攻撃されたんだけど?!僕なんかやった?!

え、まさか【屍霊術】のせい?感情が悪化するとかいうやつ?

いきなり斬りかかられるくらい嫌われるのこれ?!

うあー!あー!あぶねえ!!

ぬわー!短剣だけじゃあ受けきれない!これスキル振ってなかったら死んでたぞ!

経験が生きたな、よし逃げろ!うわ相手足速っ?!

この爺さん達人か剣聖か何かかよ?!

なんでこんな片田舎みたいな村にそんなの居るんだよ!

とりあえずこの家の中に逃げ込みますよ!

僕の冒険はここで終わってしまう!

死にたくない死にたくない!


あ、こんなところに村娘発見!

君に決めた!

攻撃態勢に入られる前の無防備な村娘を短剣でドスッ!そして【屍霊術】!

動死体ゾンビ村娘ちゃん完成!

いけ!

がーんばれ!がーんばれ!


……ぬあ!流石に元村娘ちゃんだけあって動きが遅い!

武器も単なるマチェットじゃあ田舎の剣聖相手じゃ無理すぎ……

…………

あれ?剣聖の爺さんの動きが鈍いな。

明らかに動きがおかしいぞ。

……あ、動死体ゾンビ村娘ちゃんが爺さん殺した。

え、なんでだ。絶対爺さんのほうが強かったじゃん。


うーん?

あ……ひょっとして。

ちょっと実験してみましょうか。



…………。



あー、やっぱりそうみたいですね。

これNPC同士の関係性みたいなのが関係しているっぽいです。

例えば子供とかを動死体ゾンビにすると、普通のNPCは逃げたり戦ったりするんですが、母親設定らしい女性のNPCは逃げずに近寄ったりして殺されてますね。

動死体ゾンビになったNPCの友人とか家族の設定になっているNPCは、変わった挙動を取るみたいです。

勿論逃げるだけじゃあなくて、例えば僕に対して激昂して特攻して来ようとしたりするNPCもいます。

攻撃が強力になる代わりに行動が単純になる、みたいな感じですね。

いやー、これすごいな、素直に驚きました。

面白いシステムですね。



……さて、そんな感じで。


何ということでしょう。

片田舎の長閑で平和な村は、動死体ゾンビ溢れる悍ましい村に変わってしまいました。

何ということをしてくれたんでしょう。


戦闘BGMも終わって静かになりました。

この戦いが終わった感良いですね。

普段は環境音だけなんですけどね。

戦いが始まったときだけBGMが流れて、終わると環境音に戻っていくの素敵です。

終わったんだ、って感じがして。

まあ、あっちこっちに動死体ゾンビがいて酷い光景なんですが。


いやー、でもシステムが解ってくると、ぐっと戦いやすくなるし面白くなってきました。

テストプレイの時はそこまで注意してなかったんですが、今思えばそんな感じだったかも……。

最初の剣聖の爺さんはチュートリアルだったんでしょうね、NPCの挙動を考えながら戦おう、っていう。

実際普通に戦ってたら負けてましたね、チュートリアルに負けるかもしれない相手を設置するな!

【屍霊術】も単に動死体ゾンビを作るだけじゃあなくて、強化すると色々と面白い技能が手に入るようです。

レベルも結構上がりました。

戦闘中に一度に生成できる動死体ゾンビの量を増やすスキルや、動死体ゾンビを強化する技能は取ったんですが、それ以外にも色々ありますからね。

確認しながら取得していきましょう。


……あ、生き残りのNPCがいますね。

実際、動死体ゾンビにできたのはそれほど多くはないです、村人は基本逃げて行ってしまうので……動死体ゾンビの身体能力を上げる技能を取るまでの間に随分取りこぼしてしまいました。

その中で一人だけこっちを見ている奴がいるね。

良い目をしている!

といっても距離がありますし、戦闘BGMも流れないのでここでは戦わないようです。

戦意喪失しているのかな?

まあそれもそうか、こんな動死体ゾンビうじゃうじゃ居るところに単身乗り込んでこないのは正解です。

そういう戦力差とかも理解して戦うかどうか決めてるのかな?AIすごいな……。



ん?何が目的?僕の名前を言え?

……あー、なるほど、ここで自分のキャラクターの名前を付けるイベントってことですね。

いいですねえ、風情があります。


そうですね、まず目的は……【屍霊術】がひどくNPCに嫌われるってことが分かった以上、これはもう、まともに冒険とかできないでしょう。

そうでなくてもこの状況ですからね。指名手配待ったなし。


……よし、ここは「魔王になる」ことを目標にしましょう。

動死体ゾンビで軍隊を作って、全てのNPCを皆殺しにしてみることにします!

我はプレイヤー人間の屑なり!にっこり嗤って人をKILL!!

頭ねじ切ってオモチャにしてやるぜ!

ふはは!!いきなり斬りかかってきた貴様らが悪いのだ!

テンション上がってきた。


そして名前ですね。

そうですね、こう……悪役らしい名前がいいですね。


よし。では、名前は――――



-----------------------------------

屍霊術ネクロマンシー

“私は、死んだ後も生き続けたい――”

死体に仮初の命を与え不死者アンデッドとして操作する土属性の魔術。

取得すると知性ある生物より嫌悪されるようになる。

一度に操作・維持できる死体の数を増やす「軍勢強化シャドウホスト」、

死体を改造して強力な不死者をつくりだす「死体改良エンバーミング」、

生物の魂に直接的な干渉を行う「霊魂接触ウィスパー」の3つの系統に大別される。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る