星光街アキラ画報 vol.2

第2回 編集会議 20X1/7/14



「vol.1って 評判どうだったの?」


「かなり好評だったわよ!いろんな人に 褒めてもらったし……。Iちゃん Eさん Nちゃん Mさん Tちゃん みんな 面白いって……」


「……それって 友達とか 知り合いばっかりじゃん」


「うっさいわね。こっから 新規読者 増やしてくんだからっ!こー汰は 黙ってて!」



 期末試験が終わった水曜日の午後。

 僕達は 晶ん家のリビングにいた。

 晶は 赤と白の縞のTシャツに 短くしたオーバーオールみたいなやつ サペロットだっけ?を着た普段着姿。 

 いや?サロペットだったっけ?

 でも 確かめたりすると「ダッサっ!そんなことも知らないワケ?」とか言ってバカにされそうな気がする。

 黙っていよう……。

 

 髪型は 今日はサイドテール。

 きっと あれだな。『君を想うとき』のMVだな。

 昨日 動画で見直して えらく感動してたもんな。

 T-GROねぇ。流行ってるみたいだけど。そんなに いいかな?

 僕は Northern Pole Star とか聴いてるんだよね。

 父さんがファンだし CD借りて聴いてるんだけど 大人な感じでカッコいいと思う。

  

 僕は 黒のTシャツにカーキのカーゴパンツ。

 修学社は 私服登校可だから 今日はこの格好で行って来た。

 

 

 「遅くなってゴメンね~。お昼ご飯できたよ~」



 そう言いながら スパゲッティをカウンターの上に置くのは 若菜さん。

 僕らも いつものように立ち上がり自分の分をテーブルまで運ぶ。


 

「えーっ。ミートソース?私 ボンゴレがよかった~」



 晶が ワガママ言ってるけど 誰も相手しない。

 3人テーブルについて いただきます。

 若菜さんの絶品ミートソーススパ。


 若菜さんは 母さんの7つ下の妹。

 アーモンド型の二重瞼。

 ほっそりした顎。

 晶とそっくり(正確には 晶がそっくり)なんだけど 雰囲気が 全然違う。

 髪の毛をブルネットに染めてるのもあって 本当に柔らかな感じ。


 肩上の髪を後ろで纏めた いつものスタイル。

 グレーのサマーニットに 黄色いエプロン。



「それで あきらちゃん。次は どこに取材にいくの?」


「それなんだけど ママ。ルミナスが いいと思うのっ。聖心生に人気あるみたいだし」



 ……光岡ルミナスか。

 聖心館のある『公園東口』から2駅くらいだもんな。

 ファッション関係のお店が多いイメージだけど パソコンショップとか大型書店も入ってるハズ。行ってみたいかも。



 「確かに楽しそうだけど あんなところ子どもだけで行くなんて 危なくなぁい? 他の場所にしておいたら?」


「子どもって 私達 もう中学生だよ? 大丈夫だって。背だって ママと変わんないし……」



 そう。もう中学生。気がついたら晶の身長は 若菜さんと ほとんど変わらなくなってる。若菜さん157㎝。晶156㎝。そして僕も 若菜さんに だいぶ 近づいてきた。153㎝。晶とは 抜いたり抜かれたりだったんだけど 最近は 負けっぱなし。父さん それなりの身長だから もうちょっと伸びると 思ってるんだけど……。



「そりゃ 背は伸びたけど この間まで 小学生だったのよ?心配だわ……。ねぇ こー汰くんも そう思うでしょ?」



 確かに 半年前まで 校区外に行くのもダメとか 言われてたのに いきなりルミナスとか 不安かも。不良に絡まれたりしたら怖いかも……。

  


「……うん。ちょっと不安かな?」


「でしょ?」


「ハァ? こー汰 相変わらずビビりね~ッ」



……でも 行ってみたい気はするんだ。



「でも まー あきちゃんと一緒なら 大丈夫な気がする」


「なッ なによ ソレッ」


「あらあら? こー汰くんも 行くつもりなの?」



 小さく頷くと 若菜さんは 口をへの字に曲げて 思案顔。

 ホントに 表情が晶そっくり。



「んーーー。じゃぁ こうしましょ? ママも一緒に連れってって? 大人と一緒なら危なくないし……」


「えっ ママ来んの!? ママと一緒とかヤだしっ」


「別に いいじゃない。ジャマはしないから……そりゃ デートについて来られたらイヤでしょうけど。でも 別にデートじゃないんでしょ? 」


「あっ 当ったり前でしょ!? しゅ 取材だし」


「じゃぁ 決まりね。お昼ご飯出してあげるから。……今日の お昼も 食べちゃってね」



 そう言うと 若菜さんは フォークにミートスパをくるくると巻きつけた……。


 

 

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