俳句106:部屋はなき吸えぬ煙草の初帰省

部屋はなき吸えぬ煙草の初帰省

へやはなきすえぬたばこのはつきせい


季語:帰省



 結婚して初めての帰省。行く方も、迎える方も初めての経験。

 家を出てからは、もう部屋は物置となり過ごせる状態ではなくなっている。通される居間の空気は、どことなく緊迫感が漂っている。

 夫側は煙草を言い訳に逃げ出そうとするが、妻側はそれをさせまいと阻止する。そして何故か、煙草を吸う父親も気を遣って、座ったまま。


 私は煙草は吸わない。しかし、この時だけは煙草を吸っていいたらとの記憶が蘇る。


 初帰省とすると、季語としての力は少し弱くなるのかもしれない。

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