俳句90:キャラ柄の椀を仕舞うや春の宵

キャラ柄の椀を仕舞うや春の宵

きゃらがらのわんをしまうやはるのよい


季語:春の宵



 食器棚の、大小様々な器。その中でも、愛用して使い続けているものもあれば、変わってゆくものもある。


 子供の食器。小さな食器が、気付けば親よりも大きな丼茶碗に変わる。それでも食器棚の中には、キャラクターの描かれた食器が残されたまま。身長や体重は抜かれ、それが嬉しくもあり、少し悔しくもある。

 だから対抗意識を燃やして、子供より大盛りに挑んでみる。表情には出さないが、かなり苦しい。特に脂の多いものは、翌日に吹き出物となって出てくる。


 キャラ柄の茶碗を残しているのは、「まだまだ子供よ」という、親の対抗意識なのかもしれない。

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